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怒られたら、出来損ないと思われるのだろうか

あそこに、住むこともできなくなってしまうだろうか

それは、勘弁してほしいものだ


そう思いつつ、雨でぬれた髪の毛を耳にかける


ぼうっとする頭をぽこぽこと叩いて

立ち上がる



「にんげ…」



小さく、無意味に口を開くと

ひゅうっと寒気がした


後ろを振り返っても、何も誰もいない

てか、自分自身が妖狐と言う妖怪なのだから

自分にとっての変なものって何なのだろう


苦笑いを見せて、頬を人差し指でかく



「…」



大きくため息をついて、来た道を戻った。












「た、ただいま」


「あー雨の中何処行って…ってどろんこじゃねえか!」


「すまん次男」


「何があったんだよ!?」



そう聞かれ、数秒考え込む



「…たぶん、転んだのと寝転がったせいだと思う」


「雨で湿った土の上で寝転がったのか!?」


「む…」


「まったく…風呂湧かしてくるから、手拭いで少しでも拭いておけよ」


「すまん」



すると、しょげているように見えたのか

次男は優しく



「風邪でも引いたら困るだろ、それにどろんこで…そ、の綺麗な髪とか服が台無しになるだろ」



でも照れながら、こちらにお茶を渡してくれた

…今日だけで二度目だな。



「…大声、あげないのか」


「転ぶとか、大声あげてもしょうがねえだろ。怪我しないだけ良かったよ」


「…そ、うか」



そんな次男の優しさに、心を温かくしていると

今度は曇が来た。



「おー、いきなりどっか行っておどろ…どろんこ…」


「曇…先程は悪かった、首を絞めるつもりは…」


「別に気にすんなよ、そんな改めて謝罪されると変な気分になる」


「…血筋って奴か」


「何の話だよ」



大湖もそんな感じの奴だった気が…。

似てる姿を見ると、微笑ましいものだな



「お前、そんな風に笑うんだな」


「…曇、どうした急に」


「いっつも無表情だから、お兄ちゃんてっきりお前そうそう笑わねえ子なのかと…」


「自分はお前の妹でも弟でもないぞ」


「あぁっ、また無表情に!!!」



そう言うと、こちらのどろんこな顔の頬を掴み

引っ張った。



「いひゃいお、くおう」(痛いぞ、曇)


「さっきみたいに優しく笑ってみろ!」


「ひょんなほと、ひあえておうい」(そんな事、言われても無理)


「なんて!?」



優しく。

お前の笑顔の方が素晴らしいじゃないか。

こちらより、何倍も。



「あっ笑ったぞ兄貴!」


「見逃した!!!」

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明都 - 妖狐、悩んでますね……景光達との再会があるのか、気になるところです。 (2015年2月21日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 手合せは比良裏乱入して来たら私得です…(笑) (2015年2月14日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続き読みました♪景光と妖狐の手合わせ……どちらが強かったんだろう?そして、ほのぼのな感じが良かったです。景光と妖狐達の再会はないのかな?続き楽しみです♪ (2015年2月14日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 餌付けです。簡単についていっちゃいますよ~(笑) (2015年2月8日 0時) (レス) id: 3c3d70d76d (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続きも素敵です♪景光さんに餌付けされたのね(笑)逃げてきたぽこも、可愛かったです!続き楽しみにしてます。 (2015年2月7日 13時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年9月19日 19時

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