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…10… ページ12

とりあえず、曇が動くまで動かない。

というか


曇が動いてもこちらは動かない。


それが自分の中のルール

必要以上に動かない、必要以上に避けない

返せるものは返す


曇がいつの間にか目の前まで来て、こちらの腹を殴ろうとした

それを一歩下がって避けて、元の場所に戻るようにして腹部を蹴り飛ばす

…しかしそれは避けられる



「何でお前の行動がゆっくりに見えんだよ…」


「どうした曇、当たらなかったぞ」


「お前のもな」



…それは最初だけ

ぐい、と口角を上げ笑い腰を落とす



「…来い、曇」



すると、それを合図に曇が走ってこちらに来る

攻撃を一歩も動かず全部避け、反撃を開始するが

…こちらの攻撃も当らない



「…二人とも無傷って、変な勝負」


「同意見だな」



―――扇子。

それがこちらの肩に触れようとした瞬間、扇子を掴み

此方に引き寄せ



「ぐ、ぅ…ッ」



腹部にリベンジもかねて蹴りを入れる

…あたり。



「まだまだ、しゃがんでて」



肘を背中にドスッと押し込むように勢いよくあてる

途端、曇は起き上がる途中、足を引っ掛けた

ぐおんっと体が地面に叩きつけられる



「いた…」



小さくつぶやきながら素早く起きる。


瞬間、どす黒い何かが腹の底からぐつぐつと…。



「…?」


「勝負中に他の事考えるのは流石にないだろ」


「―――」



疑問に駆られていると、目の前に曇

ザッ、と変な記憶が一瞬だけ浮かんだ

…なんか、林の、中…。

大人たちが、自分を囲、み…


ゾッと寒気がしたとき

自分は衝動的に曇を地面に叩きつけた

…片手は曇の首元にある



「が…ッ」


「て、天兄ぃっ!!?」


「あ、兄貴…」



曇の首から手を離すと、自分の額や手には汗がにじんでいた



「悪い、曇。晩飯には帰る」



気分が悪い

後から名前を呼ぶ声が聞こえても、振り返ることをせず

駆け足で林の中へ駆けこんだ


…しかし、その判断は自分を突き落す行為。


ズルッと足を踏み外し、顔面からこける

無表情のまま起き上がると

手の平には汗ではなく血がにじんでいた



「…ぁ」



頭痛。

林のそこらじゅうで変なものが見える


槍を持つ男に、子供を抱きかかえ嫌悪に満ちた目で見る女

提灯をぶら下げ自分の方へと近づいてくる集団


なんだこれ


と思いつつ頭を抱える



「…ッ」



目を瞑って、深呼吸して


曇たちのこと思い出して


大丈夫


寝れば治る


林の中、何にも無い場所で横になった。

…11…→←…9…



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明都 - 妖狐、悩んでますね……景光達との再会があるのか、気になるところです。 (2015年2月21日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 手合せは比良裏乱入して来たら私得です…(笑) (2015年2月14日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続き読みました♪景光と妖狐の手合わせ……どちらが強かったんだろう?そして、ほのぼのな感じが良かったです。景光と妖狐達の再会はないのかな?続き楽しみです♪ (2015年2月14日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 餌付けです。簡単についていっちゃいますよ~(笑) (2015年2月8日 0時) (レス) id: 3c3d70d76d (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続きも素敵です♪景光さんに餌付けされたのね(笑)逃げてきたぽこも、可愛かったです!続き楽しみにしてます。 (2015年2月7日 13時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年9月19日 19時

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