愛なんてとっくに捨てました

Un agne 13 ページ13

倒れているAに声をかけてみても反応はない。
が、息はしている……




ゆっくりと身体を抱き上げ所長室のソファーに寝かせた




「中堂さ〜ん？何かあったんですか？」




中堂の声を聞き久部が様子を見に来た




「え！Aさんどうしたんですか！？」




「俺が戻った時にはもう倒れていた。息はしているし熱は無い……疲れだろ」




Aにそっと毛布をかけ立ち上がった









ーーー







『ん……』




ゆっくりと起き上がると毛布がバサッと地面に落ちた




私……なんで……




「起きたか」




『あ………はい。…私……』




「解剖し終わって戻ってきたら倒れていた。疲れてるのか？」




あぁ……そうだ……私優香の顔を見て……




『すみません…。ここ数日映画にハマって夜通し見てしまって…』




思いついた嘘を適当に並べた




「体調管理はしっかりとしとけ。それと……お前が寝ている間に何回も携帯鳴っていた。母親からだ」




お母さん……




『すみません。ありがとうございます。外で電話してきます』




中堂さんから携帯を受け取り外に向かった








ーーー






prr…prr…prr…




『もしもしお母さん？ごめん、電話取れなくて』




「こっちこそごめんね。何度もかけて」




『どうか……した？』




どうかした？なんて……分かりきってるのに




「Aのいとこの優香……亡くなったったって…。会社近くの公衆トイレで見つかったの。死因がわからなくてね……優香の両親は解剖はしないって言ったんだけど、Aがこの前言ってたでしょ？解剖しないと何もわからないって。


だから解剖を勧めたら解剖することに決めたらしいの。どこに運ばれたのか知らないけどもしかしたら……Aの所に行ったんじゃ……と思ってね…」




『うん……うちに来た。私の先輩たちが解剖したよ。……私は別の仕事してたからまだ死因は知らないけど……』




「そう……。明日、明後日でお通夜とお葬式があるから。来れる……？」




『分かった。行く』





ﾌﾟｰｯﾌﾟｰｯﾌﾟｰｯ




電話を切りスゥ……と大きく息を吸った




しっかりしないと……




倒れるなんて迷惑かけて……




みんなの前ではちゃんとしないと……

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