辛いのは人か刀か ページ42
side三日月
取った
そう思った
しかし..背中を斬ったと思えば
兄上様は咆哮を上げて刀に力を入れた
石切丸「...っ」
今剣を庇うように兄上様の刀を受け止めていた石切丸は、兄上様の力があまりにも重い為に苦しそうに顔を歪めた
A「ならば俺も弟とは思わずに加減はせぬぞ！」
言うと同時に石切丸が押し負けて肩を斬られる
斬られた肩を抑えて後ずさる石切丸の背後から
今度は今剣が刃を振りかざした
それに呼応するように、小狐丸も岩融も
そして俺も...皆が刃を振った
なのに、どれだけ傷を付けても
兄上様は倒れる事は無かった
長く戦い、部屋のあちこちに血潮が飛び散る
畳は剥がれ襖には穴が空いて..
A「...」
部屋に立ち尽くす兄上様と俺を除き
皆は地面に伏していた
「...兄上様.....」
A「この世は残酷だろう。宗近」
兄上様の顔に感情はなかった
まるで生きた屍のように無表情であり、それが
かえって俺に恐怖を植え付けた
A「俺達刀剣男士が存在出来るのは、遡行軍という存在があるからだ。遡行軍が消えた時...お前は死ぬ。付喪神だから人の子よりも永く生きていられると思われているが、そんな事はない。寧ろ、俺達の方が先に消える確率の方が高いだろう」
何故そのような事を言うのかさっぱり分からない
しかし兄上様はその瞳を妖美に細めて言うた
A「お前達が消えない為なら、俺はどんな道にでも進んでやろうと思っていた。だが...お前達はA様の事をこれっぽっちも知ろうとしなかった......であるから、生かす必要はない」
言うと同時に
兄上様がもう一撃俺の腹に打ち込む
「ぐっ...」
身体に力が入らなくなり
俺は持っていた本体を取りこぼして
前のめりに地面に倒れ込んだ
この部屋にまで火の手が回ってきたのだろう
轟々と唸りをあげて部屋が明るくなる
意識をまだ保てているのは俺だけか..
岩融は今剣を庇うように果てて、小狐丸と石切丸は己の辺りに血の海を作り横たわっていた
A「残りは..何人だろうなぁ」
兄上様はそれだけ言い残すと
部屋から静かに立ち去っていく
薄れゆく意識の中で俺が見たのは
兄上様の背中であった
「まぁ.....形あるものは..何時か壊れる..それが今日だっただけの話だ....」
刹那、俺の周りからパキンと刀の折れる音が
続けて四度聞こえる
頬に伝わる生暖かい感触を覚えて俺は意識を手放した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 262人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【刀剣乱舞】胃袋で乗っとります。
SAOサバイバー、審神者になる。Episode2【SAO】【刀剣乱舞】 【刀剣乱舞】生まれ育った本丸、何かブラックにされたらしいんでちょっと行ってき...もっと見る
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒兎@文ストマジ神。 - 泣けた、ただ一言泣けた。予想も出来なかった結末になった。人の命の重さを知った、今まではただの命だろう的な感じだったのでこの小説で良く分かった気がする。更新頑張ってください。(・ω・)ノ長文失礼しました (2018年8月14日 12時) (
レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - リクエスト受け付けてたら、目茶苦茶難しいとは思いますが、死にかけの三条のお兄さんの手を握って「最悪の嫌がらせだ…！」って泣いてる大包平が見たいです。長文失礼しました。 (2018年7月17日 22時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - 終わった………ッ！終わりましたね！体の水分大量に持ってかれました。最後まで泣けましたな！未来を守る為に、皆を守る為に。そんなやつ書いてみたい！続編、楽しみにしてます。 (2018年7月17日 22時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 凛さん» いえいえ..神様.........ふむ、もしかして！ですかｗｗ......いやまぁ、ありがとうございます (2018年7月17日 22時) (レス) id: 4ad624ef5c (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 風船ガムさん» 主様は神様でいらっしゃいましたか把握です。これからも応援してます〜！ (2018年7月17日 21時) (レス) id: 5d1985f1dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：風船ガム | 作成日時：2018年7月4日 18時
