擦れ違う想い ページ37
sideA
小烏の目を通して
俺の目にも..景色が見える
主が斬られたのも...鶯が折られたのも
そして鶴が俺を見て泣きそうな顔をしているのも
全てが見えていた
けれど今俺の身体を操るのは小烏
俺の意思は必要ないし、俺は意思を持たなかった
鶴「なんでだよ！A兄様！！」
「..鶴丸国永」
鶴「鶯丸は、A兄様の友達だろ！」
鶴の声が届く
...友達......か
確かに、鶯は友であった。大切な友であった
「友であろうと...A様の嘆きに気付かぬ輩は必要ない。それは貴方も然りですよ」
鶴「..A兄様...」
「お覚悟願います」
小烏は本体の鋒を鶴に向けた
鶴は俺を見て顔を歪め一歩後ずさる
..逃げるのか
鶴「A兄様っ...どうして、なのですか」
昔、童であった頃のような口調に戻った鶴に
俺は微かに目を細める
鶴「A兄様は、お優しく...お強い刀であったのに.....何故..彼を折ったのですか..抵抗も出来ない丸腰の友を...どうして、折れたのです」
..ならばせめて...お前は抵抗してくれ
「では貴方は抵抗してください」
小烏が俺の言葉を言う
こんな事は初めてであった
鶴「俺に...俺に、貴方は斬れません！」
今にも泣き出さんばかりに顔を歪めて叫ぶ鶴に
小烏は斬り掛かる
鶴「！」
鉄と鉄が交わる鈍い音を鳴らし
鶴は反射的に己の本体で斬撃を防いでいた
鶴「っ...A...兄、様」
「貴方は俺の嘆きに気付く事はなかった。俺の悲しみに気付く事はなかった。それどころか、貴方は俺に頼ってばかり......それが余計に俺を苦しめた」
鶴「！」
鶴の顔色がサァと青ざめる
そしてそれは、鶯のそれとほぼ同じ
鶴「違..！俺は！」
鶴が言いかけた瞬間
小烏は鶴の首に腕を伸ばし掴みあげる
鶴は本体を取りこぼし、俺の腕を掴んだ
「違う違う違う違う違う..お前達はそればかり！何が違うんだ！申してみよ！」
ぐっと力を強めれば鶴の顔が苦痛に歪む
必死に離れようと腕を掴みもがくが、叶わない
鶴「....貴方は....俺、の...憧れ..だ」
掠れた声で言った鶴の瞳から一筋の涙が零れる
鶴「...強く、て.....何、時でも..堂々..として、いて.....っこいい、憧れ..だった」
「...憧れで片付く問題では無かろう」
鶴「..だから.....頼って、しまっ...て、ただけ......A...兄様、苦しみ...気付いて...た、寂し.....かっ、たんだ..ろ」
小烏の憎悪が増した
ギリギリと力を強め鶴の首を締め付ける
...そして、とうとう鶴の目が虚ろになってきた
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黒兎@文ストマジ神。 - 泣けた、ただ一言泣けた。予想も出来なかった結末になった。人の命の重さを知った、今まではただの命だろう的な感じだったのでこの小説で良く分かった気がする。更新頑張ってください。(・ω・)ノ長文失礼しました (2018年8月14日 12時) (
レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - リクエスト受け付けてたら、目茶苦茶難しいとは思いますが、死にかけの三条のお兄さんの手を握って「最悪の嫌がらせだ…！」って泣いてる大包平が見たいです。長文失礼しました。 (2018年7月17日 22時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - 終わった………ッ！終わりましたね！体の水分大量に持ってかれました。最後まで泣けましたな！未来を守る為に、皆を守る為に。そんなやつ書いてみたい！続編、楽しみにしてます。 (2018年7月17日 22時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 凛さん» いえいえ..神様.........ふむ、もしかして！ですかｗｗ......いやまぁ、ありがとうございます (2018年7月17日 22時) (レス) id: 4ad624ef5c (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 風船ガムさん» 主様は神様でいらっしゃいましたか把握です。これからも応援してます〜！ (2018年7月17日 21時) (レス) id: 5d1985f1dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風船ガム | 作成日時：2018年7月4日 18時
