思わぬ事態 ページ21
『やぁ懐かしいな』
屋敷に着くなり呟いたAの表情は、比較的明るくなっていた
「そうだな...中に行ってみるか」
『あぁ』
どうせ俺達の姿は見えないと思ったので
門は開いていない為、近くの木から堀を飛び越え
俺達は屋敷へ忍び込む
『...あぁ、あの頃のままだ』
過去に飛んだのだから当たり前だろうと思ったが
言わないでおこう
『よく、あの縁側でお前は寝ていた』
「人の事を言えないだろう。人の上に乗って眠っていたくせに」
『うるさい』
俺達は二人共、まだ弟が居なかった挙句..作られた年も近かったので兄弟同然に過ごしていた
「...今は楽しいか」
問うてみると隣から布の擦れる音がしたので
チラと視線のみ投げればAは腕を組み
屋敷を見て目を細めて笑っていた
『楽しいなぁ..お前と弟達と髭切と..知らぬ刀達と過ごせる時間は、とても楽しいぞ』
「そうか」
『気分転換にと連れてきてくれたのだろう。鶯..ありがとう』
かと思えば不意に言ってきたので
俺は思わず目をぱちくりとしてしまった
「..あぁ」
『主に逢ってみたいものだが..なんだか帰りたくなってしまった..』
本丸に外見が似ているからだろうな
「もう大丈夫か？」
『あぁ』
「帰ったらしっかりと髭切に謝っておけよ」
『わかっておる』
頷いたAに微笑み
懐に入っていた小型の転移装置を取り出す
「ならば...........！？」
しかし、取り出して見てみると
設定すべき時間軸がぐるぐると回っていて
明らかに故障していた
『どうした』
「..転移装置が壊れていてな。まぁ多少のバグだから、すぐに直るとは思うんだが」
困ったものだと言おうとしたら
Aはいきなり笑顔を消した
鋭く目付きを細めて回転している針をじっと見つめていた
その表情に俺は反射的に身構える
此奴がこういう真剣な顔をする時は、大抵が良くない事だ
『...直らぬやもしれぬぞ』
「何？」
しばらく置いて呟いたAは顔を上げると
俺に言った
『この針は確か、向こうからしか動かせぬはずだ。向こうが弄らぬ限り、此方は動かない...何時もの出陣とてそうであろう？..もし、今回がお忍びであったとしても......今日は出陣も遠征も無いから、誰も針は弄らぬはずだ』
「..と言うと？」
『何か..良からぬ事が起きているやもしれん』
Aの表情は固かった
俺はそんなAを真っ直ぐ見て一つ問う
「それは..お前の予感、か」
『......あぁ、俺のいらぬ予感だ』
数秒の後に答えたAに
俺は背筋が凍るような感覚を覚えた
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黒兎@文ストマジ神。 - 泣けた、ただ一言泣けた。予想も出来なかった結末になった。人の命の重さを知った、今まではただの命だろう的な感じだったのでこの小説で良く分かった気がする。更新頑張ってください。(・ω・)ノ長文失礼しました (2018年8月14日 12時) (
レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - リクエスト受け付けてたら、目茶苦茶難しいとは思いますが、死にかけの三条のお兄さんの手を握って「最悪の嫌がらせだ…！」って泣いてる大包平が見たいです。長文失礼しました。 (2018年7月17日 22時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - 終わった………ッ！終わりましたね！体の水分大量に持ってかれました。最後まで泣けましたな！未来を守る為に、皆を守る為に。そんなやつ書いてみたい！続編、楽しみにしてます。 (2018年7月17日 22時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 凛さん» いえいえ..神様.........ふむ、もしかして！ですかｗｗ......いやまぁ、ありがとうございます (2018年7月17日 22時) (レス) id: 4ad624ef5c (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 風船ガムさん» 主様は神様でいらっしゃいましたか把握です。これからも応援してます〜！ (2018年7月17日 21時) (レス) id: 5d1985f1dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風船ガム | 作成日時：2018年7月4日 18時
