星に願う【番外編 終わり】 ページ14
「願い事が決まってない？」
『あぁ』
問うた髭切に短く答えれば、彼奴は可笑しそうに笑った
『何を笑っておる』
「だって、人一倍は願い事がありそうなのに決まってないってねぇ」
髭切はそう言い涙を拭った
泣くほど面白かったか。そうか、むかつくぞ
『正直、願い事など俺にはどうだっていい。願った所で叶うものではないのだから』
「そんな寂しい事言わないでさ、考えたら？」
『..ありすぎて分からんのだよ』
短冊に視線を落とし、呟くように俺は言うた
『様々な事を願いすぎて..絞れぬ』
「じゃあ全部叶いますようにーって書いたら？」
『かけたらここまで悩んでおらん』
「...めんどくさいねぇ」
『そうだな。自分でも思う』
そう言うと、髭切は言葉を止めて俺を見た
そうしてしばらく俺の横顔を見ていた髭切は
抱えていた膝に首をコテンと落とすと、俺を覗き込むように言う
「今日は年に一度、織姫と彦星が出会う日なんだって」
『らしいな』
「天の川がどうとか言ってたよね」
『あぁ』
「一年に一度しか会えないなんてさ、なんか..ろまんちっくじゃない？」
髭切がそう言ったので、俺は眉を顰めた
『一年毎に一度会えるなど贅沢だろう。浪漫でもなんでもない...それならば数百年してやっと逢えた俺達はどうなるのだ。其方の方がよほど浪漫であろうが』
「..そうだね」
言えば髭切はトロンと目を細めて微笑む
その表情に俺は身体が疼いた
..ふむ。これは中々に生殺しとやらだな
「僕は彦星様が迎えに来てくれたからねぇ」
『ほぅ、お前まで俺を彦星と言うか』
「キミの弟から聞いたんだよ。兄上様は彦星ですってね」
今剣だな..
『ならばお前は織姫となるが良いのか』
「君のものならなんだっていいよ」
『恥ずかしげもなく言うな？今自分がどれほど愛い事を言うたか分かっておらぬだろう』
「うん？別に恥ずかしくなんてないよ？」
『ほぅ？俺のものだと己で言うていたぞ』
微笑み、何時も以上に露わになっている首筋に指を這わせれば髭切は更に言うた
「だって、その通りだろう？」
『..』
流石の俺も言い返す言葉を失う
すれば髭切は俺の腕を掴み引き寄せて囁いた
「願い事は決まった？」
...なるほど、そういう事か
『あぁ、たった今な』
「それは良かった」
微笑んだ髭切に軽く唇を落として髪を撫でる
願い事は
この平和な日々が永遠に続きますように..
...だが、その前に
この無防備すぎる織姫を頂くとするか
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黒兎@文ストマジ神。 - 泣けた、ただ一言泣けた。予想も出来なかった結末になった。人の命の重さを知った、今まではただの命だろう的な感じだったのでこの小説で良く分かった気がする。更新頑張ってください。(・ω・)ノ長文失礼しました (2018年8月14日 12時) (
レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - リクエスト受け付けてたら、目茶苦茶難しいとは思いますが、死にかけの三条のお兄さんの手を握って「最悪の嫌がらせだ…！」って泣いてる大包平が見たいです。長文失礼しました。 (2018年7月17日 22時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - 終わった………ッ！終わりましたね！体の水分大量に持ってかれました。最後まで泣けましたな！未来を守る為に、皆を守る為に。そんなやつ書いてみたい！続編、楽しみにしてます。 (2018年7月17日 22時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 凛さん» いえいえ..神様.........ふむ、もしかして！ですかｗｗ......いやまぁ、ありがとうございます (2018年7月17日 22時) (レス) id: 4ad624ef5c (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 風船ガムさん» 主様は神様でいらっしゃいましたか把握です。これからも応援してます〜！ (2018年7月17日 21時) (レス) id: 5d1985f1dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風船ガム | 作成日時：2018年7月4日 18時
