１１０.(６) ページ25
ー
｢見せらせ!!!
これが本当の極限(マキシマム)！！
――太陽(キャノン)!!!｣
再び彼の拳と相手さんの膝がぶつかる。
勝ったのは――
｢ぎゃあ!!!｣
笹川了平君だった。
相手さんの膝は砕かれ、体は倒れる。
｢うぎゃあああ!!!｣
｢決まった!!!｣
｢…メタル･ニーが砕かれるなんて！！｣
相手さんの膝は、筋肉が見えて血が流れ出し酷い状態。そんな様子を見せるのは気が引けるらしいコロネロさんは、笹川京子を引っ張り距離を取る。それに黒川花はついていく。
｢楽勝よ！！｣
｢すごい執念だ…！！｣
｢さあ行くわよ！！続けるわよ！！早く！！｣
リングでは仰向けに倒れていた相手さんが立ち上がろうとしている。片足が砕かれただけで何故あんなに狼狽するのか。
｢相手さんは何を焦っているんですかね｣
｢今に分かる｣
――ドギャッ
｢…味方を！！｣
相手さんの背中が撃れたのは、直ぐだった。
相手側の大男が手の付近に煙を立たせていることから、撃ったのはあの人なんだろう。
｢驚いたか？弱者は消す。それが、ヴァリアーが常に最強部隊である所以の１つだ｣
｢いえ別に。弱者が土に帰るのは常識なのであれくらい慣れてます。けど彼処で死なれると少々厄介なんですよね｣
｢慣れてるのか…。厄介とはどういう意味だ？｣
｢あー…処理が面倒だなぁ…と｣
この町は恭弥君が絶対。
恭弥君が目を瞑れば、風紀委員会が裏で手を引いて公にできない事件事故を警察と手を組み情報も操って内密に処理できる。
言ってしまえば、処理は単にもみ消せば良いだけの話。本当に厄介なのは、恭弥君が納得する説明が出来るか…。
｢その歳で処理もしているのか！？｣
｢方法は言えませんけど｣
｢え…！！もうわかっちゃうの〜〜!!?｣
｢あっ｣
沢田綱吉君の声で、初戦の勝敗を聞き逃したと知る。明日の対戦の話だろうか、頑張って耳をすませるが……やはり物理的に距離がありすぎて聞き取れなかった。
｢雷ってランボじゃん！！こいつ戦えんの〜!!?｣
沢田綱吉君は何故か足下を見て困惑していた。あれは…子供？
｢明日は雷か……。朝から雨なので、少々気になりますね｣
｢偶然だろう｣
｢そうだと良いんですがね｣
｢お、見ろ！晴のリングが笹川の手に渡ったぞ。初戦はこちらが勝利したみたいだ！｣
ラルさんの目線を辿ると、リングの四方を囲んでいた鉄格子が倒れており、指輪は沢田綱吉君に手渡されていた。
初戦は勝利。幸先は良いようだ。
ーー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月夜に猫が一番！ | 作成日時：2020年4月20日 17時
