６９.戻ってきた日々 ページ31
ー
黒曜中(骸君達)による並盛中襲撃事件からおよそ２週間が経った。
あの事件が収束した後、病院で意識の無い恭弥君のレントゲン写真を見て驚いた。骸君が言っていた通り、本当に鎖骨や肋骨の骨が何本も折れていたのだ。
倒れる寸前まで戦っていたと説明したら、担当医からは｢激痛があっただろうに、立っていられたのは不思議ですね｣と言われた。そのせいで恭弥君は問答無用で入院になったけど。
私も一応検査を受けたら、軽い栄養失調くらいで異常なしと診断された。おかげで恭弥君の看病と沢田綱吉君達のお見舞いが出来るから、良しとしよう。
恭弥君の入院手続きを終えた私は、並中に風紀の仕事が溜まっているか確認しに行った。書類は以外と少なかったけど、困ったのは風紀委員長のサインや印が必要な書類があったこと。
恭弥君はベットから起き上がれないから、私が代筆として書くことにしたのだ。
――そして私は今、並盛中の応接室ではなく、並盛中央病院の一室で特別に書類仕事をさせてもらっていた。部屋の中には私が書類にペンを走らせる音と、紙を捲る音が響いている。
｢A、膝貸して｣
｢どーぞ｣
病室で異様な存在感を放っているソファの端に座り、書類整理をしている私の膝を枕にした恭弥君は、仰向けに腹部の位置で両手を組んだ形で寝る体制をとる。勿論、長い足はソファの肘掛け。
入院中の恭弥君は、骨が折れている以外すこぶる元気で、体を動かそうとするのを看護師と必死になって止めたのを覚えてる。
骨がくっついてからと言うもの、リハビリを始めて今週中には退院出来るくらいまで、あっという間に回復した。
仕事もできない(私がさせてない)運動もできない(群れがいないから)恭弥君には、病室生活は暇で仕方ないらしく、こうして私にくっつく他にやることが無いみたい。
ここで寝るなら横にあるベットで寝ればいいのに。と考えてしまうが、恭弥君と触れあえることは素直にうれしい。
｢君。そこじゃなくて、こっちにしなよ｣
｢ピッ｣
そう言った恭弥君は、足先に止まろうとした子を呼び寄せ手の位置まで招く。
１つ変化したことがある。黄色くて小さくてフワフワしていて、学校や家、その他の場所にもついてきては癒しを提供してくれる、とても優秀な子が家に住んでくれることになった。ふらっと出かける事はあるけれど、数時間で私達の元に帰ってきてくれる、良い子だ。
気がかりな事はあるけど。
今は、戻ってきた日々を満喫したいと思う。
ーー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おりひめ - このおはなしがだいすきですもういちどかいてください (2018年8月17日 20時) (
レス) id: 2de35fb714 (このIDを非表示/違反報告)
おりひめ - つづきがきになりますかいてください (2018年7月29日 17時) (レス) id: 2de35fb714 (このIDを非表示/違反報告)
あーさん - はじめまして。あーさんです！コメントを返していただくときはあーだけでお願いします(あーさんさんになるため)すごくすごく面白いです！私的に最高の設定です！！これからの更新楽しみにしています！頑張ってください！！ (2017年7月28日 13時) (レス) id: 7272f6eb3f (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 楓 - とても面白いです！更新頑張ってください！ (2017年7月21日 15時) (レス) id: a468996f5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月夜に猫が一番！ | 作成日時：2017年4月14日 18時
