EXOと神様の昔話 (ページ8)

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リーダーの苦悩② ページ8

シンを注意してみていると、とてもとてもいい子なのだということがわかる。

誰かと喧嘩をしたり争ったりすることは無いし、家事もよく手伝っているし、散らかしたり汚したりもしない。

一緒に生活するにはこれ以上ないとてもいい子だ。

潔癖症という程綺麗好きでもないようで、共同で使うものには抵抗はなさそう。
だけど掃除が好きなのかよく掃除機をかけたりコロコロでゴミを取ったりしている。

誰かが散らかしたものを文句も言わず片付けていたり、開けっ放しのドアをそっと閉めていったり。

観察すればするほど、いい子すぎて涙がでる。

同い年には騒がしいメンバーも多くて、なおのこと彼が落ち着いて見える。

｢シン、我慢してることとか、大変なこととかはない？｣
｢え？無いです。｣

食器を洗っているシンに声をかけると、一瞬手を止めてそう答える。

もしシンが僕らに気を遣っているのなら、いつか苦しくなってしまうから、今のうちになんとかしたいんだけど。

シンの表情からは心のうちは読み取れない。
付き合いが浅いのだから当然だと言われればそれまでなんだけど、まるで隠されているような気がして、嫌なんだ。

最初の時点で、僕は何となく気がついていたんだけど、核心に迫ることは出来なくて、もやもやしたまま時間が過ぎていった。

彼には本当に隠し事が多くて、本人が意図しなくてもそうなってしまったんだから、タチが悪い。

わかりたいのに、知りたいのに、はぐらかされて知らんぷりされたら、これ以上踏み込んではいけない気がして、結局躊躇ってしまう。

とにかく、最初の頃はシンの無意識の壁に何度か打ちのめされたんだよなあ。