EXOと神様の昔話 (ページ14)

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チェンくんとシンくん① ページ14

シンと初めて話したのはデビューの話があった日だった。

ベッキョンは少し前から知ってたみたいであからさまに避けてたけど。

俺はせっかく同じMで一緒に活動できるんだし、同い年だし、仲良くしたいと思って話しかけてみた。

そしたら全然。

めっちゃいい子なんですけど？

それどころか俺、めちゃくちゃ褒められる。
事あるごとに優しいだのいい声だのかっこいいだの、明らかに人が喜ぶ言葉をさらりとこぼすような子だった。

歌を褒められるのはもちろん、｢かっこいい｣なんてシンみたいなやつから言われたらお世辞でも嬉しいに決まってる。

それに、よくよく見るとしっかりしてそうで意外とそうでもない。
確かに練習しているときは歌もダンスもそつなく完璧にこなすけど、それ以外にうまく集中力が向かないのか、休憩中とかは人の話はあんまり聞いてない。

私生活がもっと顕著でしょ。
無頓着。無関心。
それは彼自身にも言えるし、俺達に対してもそうだ。
俺はそれが面白くないから、構い倒してる。

一人が好きってのは俺もそうだしわかるけど、多分シンのは違う。
わざと俺たちに関わらないようにしてるとさえ思えたから。

それで構い倒してたら、彼が何かあるときに真っ先に頼るのが俺になった。
よしよし。

ボーカルの練習だったらいつもの半分くらいの人数でバンに乗って練習に向かう。

シンは多分遠慮してるのかベッキョンが乗るまで乗らないし、わざと離れた端に座るから、その隣を狙って毎回座る。

ルハニヒョンもベッキョンと同じ考えなのか、絶対に隣は座らなかった。

ライバルがいないから楽。
そうやって意地張ってればいいよ。
俺はシンと仲良くやるから。

…って思ってたこともあったよ。

あの日から、みんながA、って呼ぶようになった。

特にルハニヒョンに何の心境の変化があったのか、急にAにかまうようになった。

今まで俺といた時間の半分くらいはルハニヒョンに取られてる気がする。
まあAが中国語勉強したい！って言うから邪魔も出来ないけどさ。

こうやって車移動の時はAが端っこで、その隣はほとんど俺だったじゃん。
なんでルハニヒョンが真っ先に乗って隣にA座らせてんの。
なんでAも普通に座りにいってんの。

Aにべったりになったルハニヒョンにドン引きしつつAの反対側に座る。

｢ジョンデ、顔に出てるけど？｣
｢…何がですか？｣

ちょっと黙っててよルハニヒョン。