標的53 ページ7
その後、獄寺と山本はBハッチから並盛神社へ、私、ツナ、ラルさんはDハッチから外に出た。
初めて出た10年後の並盛には、白い靄のようなものが漂っていた。
しかも何故か私にしか見えていないみたい。
5m先も見えないくらい靄が濃いのに、ラルさんもツナも、そんなことは一言も言っていないから。
今、私は二人と別れて単独で行動している。
理由はもちろん、京子を見つけるまでの時間を縮めるためだ。
白い靄に視界が効かなくされてるけど、それならヒットマンとして鍛えた気配を察知する技術で補える。
ツナには心配されたけど、私が無理言って、ラルさんの援護射撃も得て、認めさせたんだ。
うじゃうじゃいる明らかに一般人じゃない黒服を避けながら京子を探していると、見覚えのある道に出た。
毎朝歩くその道を特に考えもなく進む。
まるで、昨日まで繰り返していた“日常”をなぞるように。
ぼんやりしたまま足を運んでいた私は、黒服の男にハッとして慌てて死角に隠れる。
そこから、辺りの様子を伺った。
門の前にいる黒い服を着た彼らは風紀委員ではなく、私達の敵。
それでも、並中は10年前と全く同じ姿で、そこにあった。
毎朝するように屋上を見上げ、そこに人影が無いか探した。
途中で自分が何をしているのかに気づき、その場から立ち去る。
何をやってるんだ、私は。さすがに委員長が並中にいるはずがない。
それに、10年前と変わらない態度で接してくれるはずもない。
だって彼は･･･私が知ってる委員長じゃない。
この時代の私が知ってる委員長なんだ。
何をどうしようとどうにもならない事実だからこそ、私は『怖い』と感じてしまう。
10年前でさえ、その全てを見透かすような瞳に、僅かな恐れを抱いていたのに。
きっと、この時代の委員長は全てを知ってる。
そして、私の“偽り”なんてすぐに見破ってしまう。
その
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作者名：水鏡 | 作成日時：2018年10月25日 9時
