標的91 ページ46
入江side
メローネ基地の、基地司令室。
事が上手く進めばもうすぐ“裏切り者”になるはずの僕にとって、この部屋は居心地の悪いものでしかなかった。
出来ればこんな所にいたくない。
研究室にでも篭って、CDでも聴いていたい。
でも、ダメなんだ。
この世界は、唯一の希望。
“作戦”が失敗すれば、取り返しのつかないことになる。
それを考えてまた襲ってきたお腹の痛みを我慢して、モニターに大写しにされた人物の横顔を見つめた。
「『銀影の死神』･･･」
その美しい白銀の髪と、携えた武器の刃の残像が影のように見えることからついた異名。
そんな大層なものがついたことにも納得できるほど、彼女の力は凄まじい。
だから、いや･･･そんなことに関係なく、彼女は狙われている。
この“作戦”は確かに白蘭サンを止めるためのものだ。
でも、彼女のファミリーである二人にとっては、彼女を助けるためのものでもあるんだと、訊かずともわかった。
(良かったね、綱吉君)
彼らも口に出すことはなかったけど、彼らにとってのメローネ基地攻略の前の“第一段階”が成功していたことを知って、僕は心の中でそう、綱吉君に言った。
侵入したボンゴレのターゲットになっているはずの白くて丸い装置の中で眠る、この時代の綱吉君に。
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風香side
かすり傷一つ負わずに超直感が示す階に辿り着いた私は、非7³線を放出している装置のある場所をまたまた超直感で突き止め、そこの扉を大破させた。
だってもう侵入バレてるし、警備システムも壊しただろうし。
銃弾によって穴だらけになり、ロックも何もなくなった扉を抉じ開けると、中にあるのは夢で見たのと同じ形の装置。
確認のためにメガネを取ると、途端に視界が靄に覆い尽くされる。
「･･･間違いないな」
メガネを掛け直したあとで再び回転式拳銃を構え、何発か撃つと、装置はあまりにも呆気なくその動きを止めた。
これで一安心、と息を吐いた瞬間だった。
突然襲ってきた衝撃に、体が一瞬宙に浮く。
「!? 地震!?」
なんでこんな時に、と唇を噛みながら必死で体を支える。
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作者名：水鏡 | 作成日時：2018年10月25日 9時
