標的89 ページ44
NOside
「なんなんだ?」
空がようやく白み始めた頃。
ボンゴレアジトの廊下に、ツナの疑問の声が響いた。
「出撃って･･･? 予定より早くない!?」
ハッチへ向かうため、獄寺、山本、ラルや笹川と共に走るツナの耳へ、ジャンニーニの緊張した声が届いた。
〈敵の急襲です!!〉
〈ヒバリが既に向かっているぞ〉
「!! ヒバリさんが!?」
リボーンの言葉にツナが雲雀の救援に向かおうと提案するが、笹川がその案を一蹴する。
「リボーンさん、風間は一体どこにいるんスか!?」
笹川の怒鳴りをツナが疑問に思った瞬間、人数の少ないボンゴレにとって貴重な戦力であり、出撃にも同行するはずの風香の姿が見えないことに、獄寺は辺りを見回しながら焦った声を上げた。
〈･･･風香は一足先にミルフィオーレの基地に向かってる〉
「! まさか、敵の撹乱を図るつもりか!」
〈ああ。それと、非7³線を放出している装置の破壊が目的らしいぞ〉
「何だと!?」
「非7³線を放出しているのがミルフィオーレかはわかっていないのではなかったのか!?」
ラルと笹川の声には驚愕が滲んでいる。
二人共、大切な人を喪ってからその原因をミルフィオーレだと思いつつも、証拠がない故に決めつけられず、周囲の同意すらも得られなかったのだ。
リボーンの言葉は驚き以外の何物でもない。
〈風香は『夢で見た』っつってた。はっきり言って超直感を持つあいつの夢は予知夢と同義だ〉
「で、でも危険すぎるよ!!」
撹乱ということは、雲雀に劣らず大勢の敵を相手にすることになる。
そのことに遅まきながら気づいたツナは声を張り上げた。
〈集中した敵の兵力をヒバリが一手に引き受けることで地上の戦力は手薄になり、更に風香がアジトの敵を撹乱させればお前らは施設の破壊に集中できる。
二人の行動に報いたければ殴り込みを成功させろ〉
リボーンのその言葉に続いて、ジャンニーニから敵アジトへ突っ切れることを知らせる報告が入る。
〈お前は二人の強さを知ってるだろ? ツナ〉
「･･･わかった。開けてくれ、ジャンニーニ!!」
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作者名：水鏡 | 作成日時：2018年10月25日 9時
