標的64 ページ18
「相変わらずリボーンはこいつにだけは甘いな」
「女には優しくするモンだからな」
当たり前のように返すリボーンにラルが再び息を吐いたところで、空を切る音が響く。
音源は雲雀が風香に向かって投げたトンファー。
飛び退って回避した風香に、雲雀は獰猛な笑みを向けた。
「それだけじゃ足りないだろ?」
挑発しているような言葉にも冷静な風香は、スッと耳に手をやり、銀のイヤリングに触れる。
途端にイヤリングは彼女の身の丈以上のサイズに巨大化した。
───疾風の戟。
彼女の師であるリボーンの相棒・形状記憶カメレオンのレオンが生み出した彼女専用の武器だ。
彼女がこの黒と銀に光るメインウェポンを出したということは、本気でぶつからねば勝てぬ相手と認識したということ。
二人の視線が交錯し、辺りは緊張で張り詰める。
先に動いたのは雲雀。
一瞬で間合いを詰めると、風香の腹にトンファーで重い一撃を叩き込んだのだ。
ドゴォッ!!
吹っ飛ばされて壁にのめり込んだ風香を見て、ツナ達は息を飲む。
しかし雲雀は気を緩めない。
何故なら彼は、例え10年前であっても彼女がこの程度で意識を失うほどヤワではないと、身を以て知っているのだから。
助走をつけて跳躍し、再びトンファーを振るう。
いや、振るおうとした。
それまでピクリともしなかった風香が至近距離から雲雀に向かって掌底打ちを放ち、空中ということもあって身動きの取れなかった雲雀はトンファーを交差させガード。
しかし勢いまでは殺し切れず落下する。
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作者名：水鏡 | 作成日時：2018年10月25日 9時
