【REBORN!】風の如く影の如く。弐 (ページ15)

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標的61 ページ15

10年後雲雀side

愛おしい。

泣き疲れて眠る彼女の顔を見て･･･純粋に、そう思った。

やはり“超直感”の所為か、この子に今現在の状況が酷く異常なものだと認識させてしまった。

こんな状況を作り出した内の一人が言うのもあれだけど、誰よりも鋭い風香にはこの状況は辛いものだろう。

それでも、彼女は周囲･･･沢田綱吉達に動揺を与えまいと、それを一人で抱え込んでいる。

本当に、そう言うところは変わらない。

自分のことは捨て置き、仲間を護ろうとする。

誰も、頼ろうとせず。

風香のそういうところを目にする度に、諭そうと思った。

『君はもう、一人じゃない』『もっと、頼って欲しい』と。

でも、僕らに出逢う前の日々で自分を犠牲にして生きることが当然のようになってしまっていた風香にそう言ってしまえば、

今までの彼女の存在意義すら否定することになってしまう。

果たしてそれが良いのか･･･。

葛藤している間に、彼女は時を止めてしまった。

今僕の目の前にいるのは、『頼ってはいけない』と“知って”いて、他人(ひと)へ伸ばしかけた手を気づかれないように引っ込めていた頃の風香。

あと少し時が経ってしまえば、彼女は手を伸ばそうとすらしなくなる。

そうなる前に、教えたい。

『頼ったって、大丈夫』だと。