標的3.5 ページ6
風香side
6月13日。
何の変哲もない、6月の大体中間に位置する日。
そして、
「ハイ」
「･･･? なに、この箱」
「･･･誕生日プレゼント」
「あ」
私の誕生日でもあった。･･･すっかり失念していた。
「･･･ありがとう」
「別に」
返事は素っ気なかったけど、嬉しいものは嬉しい。
そのあと私は街を見回っていた。
すると。
「ネェネェ、オレらと遊ぼって言ってんじゃん」
「あ、その･･･」
怯えている紫のロングヘアーの女の子に絡む不良を発見。
「退いて」
そう言ったのは不良が目障りだったのもあるけど･･･第一の理由は“絡まれてるのが知り合いだから”。
「ん? ネーちゃんも遊んで欲しいの?」
そう言って下品な笑みを浮かべる不良の顎に、ベルトから抜いた警棒をクリーンヒットさせる。
それを見て女だと侮るのを止めて次々襲いかかってくる奴らを全員警棒の餌食にしたあと
「ケガとか無い、“凪”」
と、絡まれていた友人の凪に声をかけた。
「う、うん、ありがとう、風香」
「良いよ、お礼なんて」
「うん、あと･･･これ･･･」
そう言った凪から差し出されたのは小さめの紙袋。
この前彼女が見つけたと言っていた文具店のロゴが印刷されてるから、中身は万年筆か何かだろう。
「ハッピーバースデー、風香」
「ありがとう、凪」
「どういたしまして」
その時、凪の視線が私の首元に固定される。
そこにあるのは、
「あ、これ知り合いにプレゼントされたの」
委員長からもらった誕生日プレゼント。
シンプルで小さな、青紫色の桔梗の花のブローチ。
「久しぶりに会えたし、ケーキ屋さんでも行かない?」
「(桔梗の花言葉って、確か･･･)うん･･･行く」
桔梗の花言葉･･･『永遠の愛』
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作者名：水鏡 | 作成日時：2018年8月13日 10時
