標的19 ページ22
NOside
イタリアのとある港町。
街とそこに面するアドリア海を一望できる丘の上に、ボンゴレの同盟ファミリーであるキャバッローネファミリーの本部とも言える屋敷が建っている。
そして、今屋敷は珍客と呼ぶべき少女を迎えていた。
「ボスに合わせろっつったってな･･･嬢ちゃん、まず何処のファミリーに入ってんだ?」
「言えない。でも、緊急なんだ。キャバッローネのボスに合わせてくれ」
ボスの右腕であるロマーリオ含む強面黒スーツの男達に囲まれても全く萎縮せず、「ボスに会わせろ」という白銀の髪の少女を彼らは持て余していた。
ここまで真剣なら合わせれば良い話かもしれないが、相手も自分達同様カタギではない。
もしかしたらボスを殺すために雇われた殺し屋かもしれないのだ。
会わせないという判断は妥当なところだった。
「オイ、どーしたんだお前ら･･･ん?」
そこへタイミング悪く顔を覗かせたのは、天パ気味の金髪に今風のカジュアルなジャケットが似合う青年、キャバッローネファミリー10代目ボス・“跳ね馬”ディーノ。
無防備に少女に近づく彼に、部下達は目を見張る。
「風香じゃねぇか! 久しぶりだな!」
「相変わらずみたいで何より、ヘボ兄弟子。
あと1分でも来るのが遅かったらアンタのとこまで強行突破してた」
「風香もそーゆーとこ変わんねーな。
その歳にもなってそんな暴力的だと、嫁の貰い手が無くなるぞ?」
ディーノのその言葉に少女──風香はピクリと頬を引きつらせ、即座にディーノのこめかみを抉り始める。
「アンタにだけは言われたくない!」
「痛ッ!! オイ、痛ぇから止めろよ!!」
二人のまるで兄妹のようなじゃれあいに、ただポーカンとするキャバッローネの一同。
それに気づいたディーノは妹分のことを説明する。
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作者名：水鏡 | 作成日時：2018年8月13日 10時
