【らっだぁ】嫌いなお隣さん

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困ったことになった
別に、彼女を助けなければいけない責任は俺にはない
小林さんも立派な大人だ。大人って言っても、大学生だけど
そう簡単に助けてはもらえないという、いい社会勉強になるだろう

そう言おうとしたんだ、確かに
でも実際に言葉にしたのは、それとは真逆の事だった

「しょーがねーから、今日だけ俺の家に泊めてやんよ」

何を言っているんだ、俺は
しょーがねーから、って何だよ。アウトだよ
同じ部屋で一日過ごすんだぞ？
仮にも俺は男で、小林さんは女の子
たとえどちらにも意識がなかったとしても、普通に見れば犯罪だ

断ってくれ
そう願ったが、さすがの彼女も追い詰められていたらしく、素直に礼を言ってくる

「じゃあついてきて」

同じアパートだから家の案内をしなくていいことが、唯一いいことだ
家の中に入ると、散らかしつくされた部屋が見える
しまった、片付け切れていなかったことを忘れていた

焦って散らかっている物をどかす
またドン引かれるかもしれない、そう心配したが、どうやらその必要はなかった様だ

『もしかしてさ…私が初めてあんたと会った時、きょーさんたちが家に来てたんじゃ…』
「あ、わかった？そーなんだよアイツら、いっつも散らかすんだから〜」

たしかあの日は、配信を始める前に緑君が来てたんだ
片づけろって言っても片づけないまま帰って行ったっけ

物を部屋の端っこに寄せていると、小林さんも物を片づけ始めた
ありがとうと言おうとしたが、彼女の手に持っていたものに気を取られる

「あっ、懐かしい〜ん。近海さんもいるやん、いつのやつだろ」

運営の集合写真だ、実写の
もう長いこと会っていない近海さんやコンちゃんも写っており、相当昔のものだとわかる
近海さんを見ていると、生活鯖に久々に行きたくなる
初期の運営メンバーも、今どうしてるんかな

ノスタルジーに浸っていると、急に小林さんが叫ぶ

『あっ！ガストさん忘れてた！！』

アンッッチ!?いつもの癖でそう言ってしまう
しかし俺の事は完全に無視され、小林さんは大きなため息を吐く

『なあらっだぁ。お前の仲間に「ガスト」っつー奴おる？』

ガスト…？聞いたこともない
しかし、少し考えていると、一人の人物が頭に思い浮かぶ
レウさんだ。多分
レウさんは用心深いから、偽名を使ったのかもしれない

「ガスト…？もしかしてレウさんの事？背が高くて優しそうなやつ？」

そう聞くと、小林さんは自分の首を縦に振った
レウさんだ、確実に

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