side諸伏:虫のしらせ ページ46
「凪…Aの具合はどうだ?」
キッチンにいる黄神凪に声を掛ければ少し険しそうに苦く笑う。
「良くは無いですね、薬はちゃんと飲んでるけど…下がる様子も無いみたいで…」
明日には、病院に行った方がいい
その言葉に同じ様に頷く
日頃から頑張りすぎなんだよな、とは当の本人には言えない
朝、目が覚めれば必ずキッチンに立っている印象があるAの姿。
最近は愛車を弄る姿も増え、彼女の色んな一面を見ることが増えたように思う。
彼女の学生時代から知っている身としては、著しい成長と擽ったい程の優しさと世話焼きな一面…良く人を見ている節が多い…
徹夜明けで隠していても見抜かれるんだよな、あのゼロですら見抜かれる程の観察眼の持ち主(珍しく真剣に勧誘するゼロに正直引いた…)
それに風見兄妹はある意味以心伝心なのか、言葉より行動で示している節が結構ある…兄が一番と話す彼女の根本的な原動力は兄である風見さんだという。本当に兄である風見さんが大好きなんだろうな…弁当がそれを物語ってた。(途中から俺も頂けたのは嬉しい誤算だったけど…)
─────だというのに、NOCとバレたその日の彼女の行動力に、違う“原動力”をみた気がした。
凪だけでも逃がす様話をライと付けていたあの時
静かに、気配を全く察知されずにライの背後から現れたAの表情はまるで“諦めてはいけない”と言われている様な…そんな強い意志を感じる眼差し…次に意識を戻した時には手の中にあった筈の拳銃が弾かれていた衝撃。
あの時言われた言葉…未だに、心の奥底に深く刺さっている
“自分の命を擲つ正義は、正義じゃない”
手放そうとした命は“自分だけのモノ”じゃないと言われた様な言葉
まるで
“遺された者の気持ち”を知っているような…
ドンッ
「は…?」
時間は深夜2時…眠気が来ずこの時間まで考えていた…
─────嫌な予感がする─────
俺の部屋は防犯も兼ねて1階のリビングの一角にベッドを置いた場所だ。最初は2階でも…と話をしたがそれは流石に悪いから断り、今の場所に話は纏まった。
扉を開け、音が鳴った場所
暗がりでもその存在が嫌でも分かる程
“誰”か分かる…
「A…?」
無反応な彼女の脈を測る…
彼女の後ろには階段
踏み外したんだと容易に想像が出来る。
しかもかなりの高い場所から
額からの出血が酷い…
脈も段々出血と比例して弱くなる
頼む…早く、電話に出てくれ…ッ
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瑠衣(プロフ) - とても面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2020年4月16日 20時) (レス) id: 44c29d146e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:喜怒哀楽は見切り発車 | 作成日時:2019年11月15日 16時