side松田:消せない傷 ページ34
「あんな状況で普通、吹っ飛んで生きてねぇよ…」
消える煙を見届ける様に、思い出すのはあの“2年前”の事だ…
──────────
≪陣ちゃん…。≫
電話越しに聞こえる彼奴、Aの声は震えていた様に思う。
≪これ以上は解体が出来そうにないみたい…≫
は…?こんな緊急時に巫山戯てんのか…?と怒鳴りたい気持ちを抑えて、言葉を選ぶ様に話せばAは、まるで試すように俺に聞いて来る。
≪ね、どっちだと思う?≫
罠でも掛けてみたい…まだ見ぬ爆弾魔に殺意が湧く
「辞めろよ…お前、下にいる俺達が見えてねぇと言わせねぇぞ?」
ゴンドラを見上げる俺に対し、Aは見下ろす形になる…
携帯片手に、下を見たAは笑って零す。
“まるで4年前と同じね…”
微かだが、確かにそう聞こえた言葉
≪勇敢なる警察官よ、君の勇気を讃えて褒美を与えよう…もう1つのもっと大きな花火のありかのヒントを表示するのは爆発3秒前。≫
恐らく、液晶パネルに記された言葉だろう…
≪陣ちゃんなら、タイマー切っちゃう?それとも…爆弾の在処をみて、誰かに伝える?≫
「何、言ってやがるA…。」
私は死ぬ気はない…言葉じゃどうにでもならねぇ事があるんだぞ…!?思わず怒鳴りたくなる衝動を抑え、Aの話を聞いていた…
≪で、陣ちゃんならどうする?≫
俺なら…どうするか?
「…タイマーを止める。」
≪ダウト、嘘つきは嫌われるわよ…?≫
じゃあ、またね…
プープープー…ッ
無機質な機械音が耳元で響く
その時程、Aが見えているのに助けにいけない虚しさが胸を焦がした…
「なんで!…陣さん、助けてくれるっていっただろ!?」
なんで電話を切った!!!
泣きそうな怒鳴り声に、否定も出来ず唯4年前を繰り返す様な表情の茂に返す言葉もなかった…
その時だ、茂の携帯が鳴った…
≪しーろちゃん…大丈夫だよ。私死ぬつもりは無いからさ…だから、そんな顔しないでよ?≫
茂を安心させる様に掛けられた電話…此からどうするんだと問う茂に対し、Aは当たり前のように告げた。
≪ん?そりゃあ…4年前とする事は変わらないよ。≫
4年前と同じ事…
その本当の意味を理解するのは、彼奴が観覧車の柱に宙吊りになっている所を目撃した時だった…
──────────
「まぁ、背中の傷に関しては、今でも謝罪しようがねぇんだがな…」
本人は気にしてない自業自得だとか抜かすが…
俺が気にするんだよ…。
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瑠衣(プロフ) - とても面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2020年4月16日 20時) (レス) id: 44c29d146e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:喜怒哀楽は見切り発車 | 作成日時:2019年11月15日 16時