私は居なくならないから… ページ48
声が聞こえる…
でも何だか聞こえずらいな…なんて思う中、ボヤけた視界の中…“四人”いる事は把握した。
私、どうしたんだっけ?
懐かしい夢を見た気がした…
今でもフッと過ぎる事
“彼等に、おかえりなさいと伝えられなかった”
今なら伝えられる気がする…。
夢でも構わない“
駆け寄った人影が優しく、両頬に触れた様な…
裕也お兄ちゃんだったらいいなぁ
『おしごと、つかれ…さま…』
拙い言葉が零れたような、気がする。
右側では、誰かが私の右手を優しく包み込んでいる…両頬の人とは違う人だろう…
頭上より少し左側…そこではきっと誰かが泣いて居る。
そんな事が分かるのは、左の頬に熱を帯びた雫が当たるからで…きっと誰かの涙だろう。
クシャクシャに泣いて居るその人は、きっと普段はあまり泣かない人なんだな…
耐えるように、泣いている。
…まるで昔の私だね
声を枯らして泣く事は…もう一昔の私には出来なくなっていて…
失い過ぎたあの時の私…
兄を亡くしたその日、“声を上げて泣かなかった”ね?
左にいる人と同じ様に…唯々耐えるように泣いて…
─────それから帰らぬ友にメッセージを入れた日もある
当時の兄にも、届かぬメッセージを送ったね?─────
なんて、偲ぶ中。
朧気ながら見えた
「君は、風見Aだ…!分かるか!?」
あぁ、そうだ…
今の私は、今世の私は…
風見裕也の妹
「好きな色は?」
『…みどり。』
「親友の名前は?」
『おうじ、なぎ…なぎたん…』
段々…ハッキリする意識の中…あぁ、この声色を知ってると理解していく…
質問を次々とされ、答えていく私…
「俺が、分かるか?」
『ふるや、れい…さんだ、裕也お兄ちゃんの…上司、ぱつきんゴリラ…』
「はは…上等だ、減らず口も健在か…」
呆れた様に何処か安堵したような困った表情のその人に、拙いながら伝える
何、泣いてんの?
問いかけは無視された、悲しいな…
「風見、ヒロ…Aを車に……。救急外来に連れていく…。」
袖で拭ったグレー色のスーツ、微かに湿っていた様な気がしたけど…多分気の所為…
「ヒロ…君は行けない」
「あぁ…わ、かってる。」
左手を掴んでいる人は、ヒロさんだったんだ…
『“景光”先輩、有難う…』
心配かけてごめんね…?
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瑠衣(プロフ) - とても面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2020年4月16日 20時) (レス) id: 44c29d146e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:喜怒哀楽は見切り発車 | 作成日時:2019年11月15日 16時