1日目 出会いは向日葵と共に :中編 ページ3
幽香の説明によれば、
まずこの地は“幻想郷”と呼ばれる、忘れ去られた者達が行き着く楽園らしい。
この地には人間や妖怪、神などの空想の存在が普通に暮らしているらしい。
“幻想郷”は、大妖怪であり、賢者である八雲 紫によって管理されているらしい。
そして、幽香もまた妖怪と呼ばれる類であった。
「…なるほどな…。そうか、俺、忘れ去られたのか…。」
「…取りあえず、理解してくれたかしら?」
「ああ。取りあえずOKだ。」
「さて…お茶にでもしましょうか。」
「サンキュー。アイスミルクはあるか?」
「ええ。勿論あるわ。」
幽香はコップに牛乳を注ぎ、剣城は机一つ挟み幽香と向き合って座った。
「そう言えば…ここって幽香の家なのか?外にいっぱい向日葵が咲いてるのが見えたが…。」
「そうね。ここは太陽の畑。さっきあなたはその花畑の道の上で倒れていたのよ。」
「…危なかった…花の上に落ちてこないで…。」
「…そうね…。もし花の上に落ちていたら、あなたの命なんてなかったと思うから。」
「いやこえーよ!?」
剣城は笑顔で言ってみせる幽香にツッコむ。
「…でもこの畑…管理するの大変じゃないのか?」
「そうね。『花を操る程度の能力』があっても大変よ。…でも、私は花を愛しているからね。」
「…能力…?」
「そう言えば説明するのを忘れていたわね。この幻想郷には能力の概念があるわ。
ここではその異能の力の事を“程度”の能力と呼ぶの。“程度”と言うのはそれしか出来ない…という皮肉が込められているわ。」
「そんなものがあるのか…んで幽香は『花を操る程度の能力』があるって事ね。」
「そうよ。」
「…でも…能力であってもすげえなこの風景…。」
「ええ。私のお気に入りの風景よ。」
そう話しているうちに、剣城はアイスミルクを飲み終わった。
「ごちそうさま。」
「お粗末様。ところで…あなたに行く宛てはあるのかしら?」
「いや…特にないな…。そもそも知らない土地だし。」
「…それなら、ここで暮らす?」
「えっ…?良いのか?」
「ええ、歓迎するわ。ただし、家の手伝いはやってもらうから。」
「勿論だ!ありがとな!」
こうして、剣城と幽香…後にある意味夫婦をも超えた関係になる二人の暮らしが始まった。
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作者名:フウ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2023年2月7日 4時