◆*18*◆satoshi ページ18
.
智「…A……」
.
「大ちゃん先輩…」
智「…今から…行くの？」
「…はい…」
.
.
広い玄関の向こうから漂う柔らかい風が
振り向いた彼女の髪を揺らす
透明な肌を
春の陽射しが照らせば
本当にこのまま消えてしまうんじゃないかと思うくらい
彼女の儚さは、眩しい
その眩しさに目をくらます男たちが
今か今かと君に近付こうとしてるのを見るたび
俺の心はこんなにも
焦りと憤りで埋め尽くされそうになってるっていうのに…
.
「…ふふ、先輩…眠そう」
.
そうやって君は全く見当外れなことを言うんだ
.
そしてまた
その微笑みは
いとも簡単に俺の胸を鳴らす
.
もう何度、張り裂けそうな想いに必死に必死に歯を食い縛っただろう
俺はこの先どれだけ
彼女にﾄﾞｷﾄﾞｷさせられ続けるんだろう
.
この3年間…
傍でずっと彼女を見続けてきた
忘れようとすればするほど彼女の中で大きくなっていく、
アイツの存在。
見えない孤独の中で
自分を保てなくなるくらい一人で苦しんでる彼女を
黙って見守ることしか出来ないことがこんなにも辛いなんて思わなくて
だけど彼女を困らせるようなことは絶対にしたくないから…
俺に出来ることはただひとつ…
.
彼女の泣き場所になること。
それは、彼女が片想いしていた時から変わらないこと。
きっとこれから先だって
彼女が安心して涙を流せるのが俺の前であってほしいと思うし
その涙ごと彼女を受け止める覚悟なんて
もう、何年も前からずっと出来てる
…だから
.
だからさ……
.
.
「…私、そろそろ行きますね」
智「…A！…」
.
.
.
智「…無理…、すんなよ…」
.
.
お願いだからもうこれ以上彼女が傷付きませんように…
彼女が一人で涙を流すようなことがありませんように…
.
.
だって俺はあの日から…
アイツを想って泣き崩れる姿を見て、俺が彼女を守ると決めた、
花火大会のあの日から…
.
彼女の涙を一度も見ていない
.
ラッキー嵐ドラマ&映画
よいこの味方〜新米保育士物語〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 697人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
