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昨日食らった銃弾が左腕に残っていた。きっと弓兵がベッドまで運んでくれたのだろう、身体の関節が悲鳴を上げる事は無かった。
とりあえず血を洗い流そうと、風呂で身体を洗って髪を拭いている時だった。

軽やかになるチャイム音。私が出よう、と弓兵が玄関に赴く。その礼装のままで出るなよー、と釘を刺した。
着替え終わった後、リビングにはアルラーナとセイバーがゆったりと寛いでいた。

「え、何してんの。」

「ちょっと聞きたい事があって。」

「次会う時は敵って…」

「あっ、あれは…こ、言葉のアヤってやつよ!とにかく!私はあなたに聴きたいことがあって来たの!」

少女は取り乱したのを咳払いで誤魔化し、本題に入った。

「私が聴きたいのは昨夜言った、夢の事。」

「それには俺も思うところがある。」

「本当!?」

勢いよく立ち上がり、ツカツカと少年の前ににじり寄る。少年は気圧されるように一歩下がった。

「私の夢と似通っているという事?」

「ま、まぁ…あのー…近いデス…」

「あぁ…ごめん。それで?どういう夢なの、それは。」

「話せば長くなるんだが。」

少年は夢の一部始終を事細かに話した。最近はぱったりと見なくなった事も。
少女は自分の手を握ったりしながら話を聞いていた。

「つまり、私とそっくりな女の子とシロツメクサが出てきて、それがだんだん変化する、と。」

「あぁ……それに、兄さんって俺の事を呼ぶんだ」

「えぇ〜何それ。あなた、妹が欲しすぎてそういう夢見るんじゃないの?」

「馬鹿言え!絶対違うからな。」

少年はひと呼吸おいて目を伏せる。

「それにあの子は、約束って言ったんだ。破らないでって。」

「出たわね。約束。妙に引っかかるのよ、その言葉。」

その約束という単語。なんだったか…。思い出せない。記憶喪失という訳でもないだろう。本当に、頭から綺麗にその記憶が抜けている。

「それでね、セイバーは思い出してはいけない事なのかもって」

「一理あるな……」

この金髪の騎士は何か知っていそうで知らないようだ。含みのある人間だと思う。

約束…シロツメクサ…血溜まり…苦しいよ…

全く接点が見つからない。もういい加減分かってもいい筈なのに。

すると、外からチャイムを鳴らさずにドアを乱暴に叩く音がした。

「ノア!ノアさん!早く…早く来て!!」

何事かとドアを開けると、近所に住む顔見知りの少女が目に涙をためながら言った。

「兄さんが危ないの…!」

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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時

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