Awakening from the nightmare ページ25
「何を考えているか知らないが、甘く見られると困る。」
頭上にやった短剣を下に振り下ろし、懐を狙った。それをすかさず弓兵が食い止める。
「もうバーサーカーの消滅は確認出来た。敵陣になる必要はないだろう。」
「いや。こちらはこちらで、決着を着けたいと思っていてね。」
短剣を振り払って足蹴りを食らわせる。小さく呻いて壁際に飛ばされる。流石にサーヴァントとやりあうのは体力的にも辛いか。
「ここでくたばると良い。きっと幸せだろうよ。」
「そんな顔してる英霊サマほっといて向こうには逝けないね」
キン、ガキン、と刃と刃がぶつかる。さっさとケリを着けたいもんだ。
「set!」
強化魔法を使う。家の意識化も重なって魔力消費が尋常でない。汗が静かに垂れ落ちる。
「オァァ!」
「ハァッ!」
血飛沫が、舞う。
赤い外套に染みる液体が、ドクドクと弓兵の腹から流れ落ちる。不思議と、両者はそれ以上顔を歪めるでもなく、笑うでもなく、ただ真顔で弓兵に突き刺さっている短剣を見つめていた。
ゆっくりと、丁寧に短剣を抜く。短剣に付いた血が、生々しい。
「俺の、勝ちだ。」
小さく呟いて、弓兵へと近付く。弓兵は何も言わず、ただ薄らと消えていっている指先を安堵の顔で見ていた。
「あぁ……私の、敗北だ。」
「消えさせはしない。パスを繋ぐから。」
「いや、それは拒もう。敗者がいなければならない理由など、聖杯戦争には存在しないからな。」
「なら、勝者の言う事を聞くのが、敗者の在り方なんじゃないか」
「…好きにしろ。減らず口は相変わらずだ。」
「遠慮なく、な。」
弓兵の核に意識を集中させる。パスを繋ぐ。弓兵の消滅が止まった。血は溢れて止まらない。
「アーチャー。霊体化しろ。その方が傷も治るだろう。」
「…む、分かった。」
霊体化すると、上からアルラーナと銀髪の少女が降りてきた。
「やっぱりアルラーナだったか。」
「やっぱりって何よ。私じゃ不満って事ですか」
「いや、そうじゃなくて。」
「サーヴァントの件…解決したのかしら……」
「あぁ、あれならもう問題無いよ。ありがとう。…えっと」
「ソフィア。ソフィア・エルゴット……。改めて、ランサーのマスターよ…よろしく。」
「バーサーカーが消滅したが、どうするマスター。」
ランサーが、セイバーと一緒に外から中へ入ってきた。
「中は結構荒らしたようだけど…どうなったんだい、ノアード」
「大丈夫。もう心配いらないよ、セイバー。」
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時