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息を呑む。眉が寄った角張っている顔に黒い目玉が爛々と動く。こいつはダメだ。一突きでこちらがやられてしまう。

「……それで、私良いことを思いついたのだけれど……」

少年が殺されそうになっている緊迫した空気の中で、少女の柔らかな声が掻き消す。

「あなたに……協力するわ…」

「正気か、マスター。」

赤髪の槍使いが自分の主人へ疑問を投げかける。

「…えぇ…。私、あのバーサーカーのマスターが、自分でも驚く程憎いの……。前世の因縁なら、仕方の無いことなんでしょうけど……。」

「君は、コロニナンカ家の当主か」

「いいえ……。私はただの一般市民…。魔術師でもなければ、あなた達のように血の繋がりが大切な人間でもない……彼から契約を申し込んで来たの…」

「サーヴァントとマスターの了承があって初めて契約は成立するんじゃないのか」

「分からない…。けど、彼が必死だったの…それ程大切な物なんでしょう、聖杯というのは……」

「然り。儂は聖杯で叶えたい願望というものがある。それにはマスターが必要だったのだ。」

「じゃあ、彼女じゃなくても良かったという事か?」

「そうとも言えよう…だが、儂はこのマスターで正解だったと思っておる。なんせ、この小娘は自分がおれば儂一人の魔力ぐらいどうということはないと思っておるんだからな」

ガハハと急に笑い出す英霊。これはこれで不快ではないな。

「そら、同盟を組んだのであろう?ならば、お主がサーヴァントを取り返すまで、味方として儂が戦ってやろう」

アーチャーとは違って爽快で、明快で。でも、何か足りなかった。

「早速行きましょう……。あの男を殺さないと、腹の虫が収まらないわ……」

サクリ……少女の洒落たブーツが木の葉を食んだ。

Battle→←Reason



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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時

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