Battle ページ21
準備はとっくに出来ていた。あの憎い男を殺す準備が。
あの男は美しい15以上の娘を捕まえては家で暴力を振るう最低な奴だった。私は、1度やられた事がある。それはもう酷い有様だった。
ランサーと契約を成立させたのも、きっとこの事があったからかもしれない。人間離れしたサーヴァントの存在があれば、男一人殺すことなんて容易いだろうと思っていたから。
だが運悪く向こうもサーヴァントを召喚していた。しかもバーサーカー。中々手に負える相手じゃない。この少年に協力を申し込んだ事は少し正解だったかもしれない。
ウィンドワーズの家へ着いた。不気味だ。だが、どうということはない。きっと向こうからサーヴァントの気配を感じ取って出てくるだろう。そこを一気に突く。
「中々の殺気じゃねぇか、お嬢ちゃん?」
「あなたも人の事は言えないでしょう……?」
背後にいる少年が身構える。一人では何も出来ないのに、バカね。
「マスター、やるか」
「えぇ…バーサーカーはあなたに任せる…。私は男を仕留めるわ…きっと、マスターがいなくなればバーサーカーも消えるでしょうし……」
「うむ。隙を突かれるなよ。相手はお主より力もある。まぁ、何より儂は強いヤツと戦いたくてうずうずしておったのだがな。」
「忠告、ありがとう……」
少年の手を引っ張って家の中へ入る。中には男が必ずいるというのに真っ暗だ。
「……っ!」
上から赤い矢が飛び込む。きっと少年のサーヴァントだ。
「ここからは一人で行けるか。俺はアーチャーとケリをつける。」
「行けるわ…あとは殺すだけだもの…。」
すっくと立ち、音を立てずに上へと上がった。それを拒むかのように背後に殺気が充満する。
「アーチャー!」
キュイィン、と刃と刃が交わる音がする。踵を返して登る。
上へ行くと、広い部屋だった。モノクロで統一された、なんの面白味もない部屋。その中で唯一動くベッドの毛布。
私は知っている。あれは、動かしているのだと。
咄嗟に振り向く。男が立っていた。こうやって以前捕まえられたのだ。短剣をニ本取り出す。男の首元へ持っていく。
「おやおや…諦めて私の妻になるのかと思えば暗殺ですか……フフッ、それもいいですねぇ」
「何も話すことは無いわ…。大人しく殺されてちょうだい………。」
「殺されてくれと言われて簡単に殺される人間がどこにいるんでしょうねっ!」
自分の懐に飛び込んできた足蹴りに短剣を突き立てた。
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時