【暗殺教室】貴方が私の生きる意味【赤羽業】 (ページ2)

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回想の時間ページ2

10年前。

墓を親族が囲む中、その中心には幼い少女が立ちつくしていた。
その少女の目には光がなく、ただ涙だけがあふれている。

『お父さん…お母さん…どうして…!!』

泣き崩れる彼女に、親族は同情的な目は向けているが引き取ろうと言うはいない。
何人か引き取ろうと言う人はいたが、遺産目当ての親族たちだけだ。

そんな時、参列者の子供が少女に近寄った。

「…君、大丈夫？」
『誰…?』

突然投げかけられた問いに、少女は涙をこぼしながらその声の持ち主を振り返った。
後ろにいたのは、少女と同じ年くらいの赤髪の少年。

「俺はカルマ。赤羽カルマ。…よかったらさ、俺と一緒に来ない？」

その言葉に、場がざわりとざわめいた。

『貴方と…?』
「うん、俺と。」
『…いいの？』

恐る恐るといった風に聞いた彼女に、少年はこの場に似合わない雰囲気で笑った。

「もちろん!!俺の両親もいいよって言ってる。
　一緒に来るなら君に残された財産は、一切誰かが動かせないように凍結するってさ。」
『え…!!』

もちろん、君が自立できる年齢になるまでね。という少年に、少女は絶句した。

幼いながらに少女はこの場に散らされた悪意に気づいていた。
しかしこの少年が言うには、自分達はそんなことをしないと笑顔で言うのだ。

「ね。父さん、母さん。」

少年の声に反応して少女は上を向く。
いつの間にか少年の後ろには、赤髪のきれいな男女が立っていた。

「もちろんよ!!私、娘もほしかったのよね。ねえ、私達と家族にならない？」
「…君をもちろん大切にするし、悪いようにはしないよ。どうだい？」

悪意のかけらも含まれていない笑顔に少女は安堵で涙をこぼす。

ああ、この人たちは信じられる。
全てを失った私を埋めてくれる。

少女は、赤髪の少年の手を取った。

『これから、よろしくお願いします。』
「ええ、こちらこそ!!」
「娘ができたな。」
「俺のことはカルマって呼んで。」

…この人たちを守ろう。この人たちから貰ったものを、返すために。
愛を注いでくれた、この人たちに。

少女は、決意した。
これが私の、新しい生きる意味だと。