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警告 ページ18

「ま、それはそうとして。
Aちゃんのことはあなたに任せた方がよさそうだね。
ただ、あなた、学校はどうするつもりなの?」

「休学する。それくらいの決意だ。
補習ならいくらでも受けてやる。Aさんを守るためなら、迷いはない」

遠藤は「そう」と言って笑った。

「素晴らしいほどの愛ね。嫌いじゃないよ、そういうの」

「別に嫌われようが好かれようが、俺の決意は揺らがない」

「本当にAちゃんのことしか考えてないね。いいよ。ますます安心する」

遠藤は休憩室と廊下をつなぐ扉の前で立ち止まって、俺に向かって何か書かれた紙を投げた。

回転しながら俺に向かってくるその紙を掴んで、内容を見る。

「私の名刺。何か困ったことがあったら、そこの電話番号にかけて。
Aちゃんの記憶探しのことでも、恋愛のことでも」

「最後のは余計だ」

と言いつつ、安堵している俺がいる。

「じゃあね信貴君。頑張って」

遠藤は扉を開け、Aさんの病室とは反対の方向に向かった。帰るつもりなのだろう。

俺も休憩室から出て、Aさんの病室方面に向かう。

「そうそう信貴君」

背後から遠藤の声が聞こえ、足を止めて振り返る。

「一つ、言い忘れたことが」

遠藤はこちらを向こうとしなかった。

閑散とした廊下に、遠藤の声だけが響く。

「なんだよ」

「……ルミエさん、あの人は何か隠してる。注意することね」


「……は?」

俺がやっと声を上げたときは、もう遠藤の姿はなかった。

どういう意味なんだ。ルミエさんが何かを隠してるって。

ポケットからさっきもらった名刺と携帯を取り出し、名刺を見ながら数字を押していく。

「……いや」

途中で止めた。

きっと今掛けても、遠藤は教えてくれないだろう。

とにかく今は、Aさんの傍にいてあげよう。


「おかえりなさい、町田くん」

Aさんは桜のように優しく美しい笑みで迎えてくれた。

「ただいま、Aさん」

照れながら、そう言い返す。それを聞いたAさんも照れて、美しいはにかみを見せてくれる。

「Aさん、何か変わったところはない?」

「私は大丈夫。町田くんこそ、調さんとの話、どうだったの?」

「うん……いろいろとね」

曖昧に答えて、何気なく窓の外を見る。
もう日が落ちて、薄暗くなりかけている。

「ねえ、町田くん。そろそろ帰った方がいいんじゃないかな。親御さん心配するだろうし」

Aさんが何気なく言ったその言葉に、どう答えるべきか悩んだ。

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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年4月12日 1時

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