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Episode6-3 昔の話 ページ25

「それは、アミーゼ、あなたの力が弱いから。いくらパートナーの力が強くても、パートナーが倒したらあなたが成し遂げたことじゃないから」

エマさんは強い口調でアミちゃんに告げた。
アミちゃんは、悔しそうだった。

「私、絶対に強くなる。だから、私が倒すその時まで、待っててね」

エマさんは余裕の表情を見せて、静かにうなずいた。

アミちゃんは目を潤ませながら、私の横を駆け抜けて、どこかへ消えていった。

「あ、アミちゃんっ!!」

呼びかけても返事は聞こえてこない。

「……Aさんでしたっけ。アミーゼが迷惑をかけてしまって、ごめんなさいね」

エマさんが何事もなかったかのように笑顔を見せる。その笑顔が、逆に怖い。

「あ、い、いえ。こちらこそ……」

その後に何を続ければいいのか分からなくて、黙ってしまった。


「エマさん……。なぜアミーゼ嬢にこんなことを……」

ロビンさんが沈黙を破った。焦っているようだ。

「あなたにも分かるでしょう? 今のアミーゼにはフィロデスを救う力がない」

また訳分からなくなってきた。フィロデスはアミちゃんのおじいちゃんが何とかしたんじゃなかったの?

「そうですけど! あまりにも厳しすぎやしませんか? アミーゼ嬢はAさんに出会って、楽しそうに過ごしていたのに」

ロビンさんの必死さは、言葉にできないくらいだった。

「……勝手になさい。それでフィロデスが救えなくなったら、どうするのかしら」

エマさんがまた厳しい口調で告げ、一瞬のうちに姿を消した。


「あの、よく分からないんですけど……」

ロビンさんの脱力した顔を見つめながら、遠慮がちに聞いてみた。

「ごめんね、Aさん。昔の話だけど、フィロデスでいろいろあってね……」

ロビンさんはぽつぽつと語りだした。

アミちゃんが産まれる少し前のこと。フィロデスには魔物が充満していて、街に来る魔物は少しずつ退治していったが、それでもきりがない。
「風使い」の称号を持つコウンの娘、アミちゃんの母親は膨大な魔力を持っているとされていた。だから彼女は、アミちゃんを産むとすぐに、魔物が一番多くいる洞窟に向かい、魔物の発生原因を突き止め、それを倒すよう命じられ、従うことになった。
彼女の夫も同行したが、年月がたっても魔物は減らず、むしろ増える一方。おかしいと思ったコウンが洞窟についても、そこに彼女らの姿はなかった。

「その時、彼女らはきっと人間界に行ったのだろうとされている」

Episode6-4 アミちゃんの過去→←Episode6-2 アミちゃんの目的



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設定タグ:ファンタジー , オリジナル , 魔法   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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頂志桜(サム)(プロフ) - 怪盗ゆかりんさん» ありがとうございます!地道に、頑張っていきますね! (2016年8月24日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗ゆかりん - とても良いと思いますよ。オリジナル物では大体ファンタジーじゃない恋愛系が多いのでとても良いと思います。なので頑張ってください。 (2016年8月24日 11時) (レス) id: 9e404a3c93 (このIDを非表示/違反報告)
らむ音(プロフ) - 頂志桜さん» じゃあ、オリジナルで! (2016年2月11日 14時) (レス) id: 38cad45099 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» オリジナルのほうがいいかなーと。どうでしょうか (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» 敬語なのはなんとなく……です。普通のほうがいいかな……? (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年1月25日 1時

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