Episode5 私と戦いませんか？ ページ19
学校が終わり、下校時刻。
亜実ちゃんの姿は、どうしたのか、ない。
仕方ないので、とりあえず神岡神社に来た。
《あの子、いないみたいよ》
――じゃあ、秘密基地に入れないじゃん
《大丈夫。あんたならできるよ》
まさか、私にアレをやれと？
棒立ちで待っているのもバカバカしいから、やってみることにした。
澄んだ青空が、力を与えてくれるような気さえした。
砂利に手をかざし、目を閉じる。指先に力を入れて、息を吐く。
浮いた。あの赤いボタンが目に入った。
「できちゃった……」
ボタンに触れると、勢いよく木の板が跳ね上がり、巨大な黒い穴が口をあけて待ち構えた。
昨日は怖くて叫んでしまったけど、今日は大丈夫そう。
「えいっ」
落下速度：約210m/sで、下へ自由落下。
フカフカのクッションが期待通りに、体を包み込んでくれた。
アリアドネの言う通り、秘密基地には人気がない。
《あの子が来るまで、魔法の練習でもしておいたら？》
暇なので、アリアドネの言う通りにするか。
昨日のホールに足を進め、変化に気づいた。
人が、いる。
それも、私が知っている人。
「……やあ」
何か意味を含ませたように、静かに解き放った挨拶。
嬉しそうに見えるのに、どこか寂しそうな微笑。
「え……！？」
すらりと高い背。整った顔立ち。人間年齢だと20歳前後……。
ウォーム・ライティング・ロビン。それが彼の名前だった。
「ロビンさん……。昨日、『アムール』には入らないって言いましたよね」
「はい。分かっています。アミーゼ嬢に伝えなくてはいけないことがあったので」
あー。一安心した。また気持ちが揺らいでしまうところだった。
それにしても、気配を消すのが上手い。さすが『アムール』の一員、といったところか。全く気付かなかった。
《いや、さっきまでこいつはいなかった。瞬間移動でもしたんだろう》
なんでもできるのね。フィロデスの人は。
「ところで、アミーゼ嬢はどちらに？」
「アミちゃんは、どっか行っちゃいました。多分、まだ学校にいるんだと」
ロビンさんは全てを悟ったような顔をして、何も言わなかった。
「……折角なので、私と戦いませんか？」
「ヘァッ！？」
謎の奇声を発してしまったではないか。突拍子のないことを言いますねえ。
《悔しいけれど、こいつと戦ってみるのは悪い手じゃない。受けてみればいいんじゃないか》
悔しいってどういうことなのか、わからないけれど、まあやってみるか。
Episode5-2 瞬間の出来事→←Episode4-4 亜実ちゃん
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頂志桜(サム)(プロフ) - 怪盗ゆかりんさん» ありがとうございます！地道に、頑張っていきますね！ (2016年8月24日 12時) (
レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗ゆかりん - とても良いと思いますよ。オリジナル物では大体ファンタジーじゃない恋愛系が多いのでとても良いと思います。なので頑張ってください。 (2016年8月24日 11時) (レス) id: 9e404a3c93 (このIDを非表示/違反報告)
らむ音(プロフ) - 頂志桜さん» じゃあ、オリジナルで！ (2016年2月11日 14時) (レス) id: 38cad45099 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» オリジナルのほうがいいかなーと。どうでしょうか (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» 敬語なのはなんとなく……です。普通のほうがいいかな……？ (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：頂志桜 | 作成日時：2016年1月25日 1時
