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Episode4-4 亜実ちゃん ページ18

朝。カーテンの隙間から漏れる光で、目が覚めた。気持ちの良い目覚め。

爪先立ちで、そっと立って、カーテンを開けに行く。

《おはよっ》

カーテンの開く音と同時に、無邪気なアリアドネの声。昨日のことは、やっぱり現実だったことを証明してくれた。

「おはよう。アリアドネ」

そっと呟く。別に口に出す必要もないのに。朝は不思議だな。


一通りの支度を終えて、家を出る。

「いってらっしゃい」

「うん。行ってきます」

母の目は、優しかった。


学校。いつもは、ぼーっとしているだけだったけど、なんか今日はやる気が湧いている。

これも、アミちゃんと出会ったからなのかな。それとも、気まぐれ?

「……あ、そうそう。今日転校生来るらしいよ」

隣の女子三人組のそんな話が聞こえてきた。

――こんな新学期始まって少し経った、変な時期に転校生?

《変な転校生なんじゃない?》

アリアドネは、冗談めかして言っているけど、あながち冗談じゃないかも。

例えば、親御さんが、俗にいう裏世界の仕事をしていて、それが表ざたになったから仕方なく……とか。

――いや、これはかなり考え過ぎだよね。

《分かんないよ? もしかしたら、ね》

そうアリアドネと雑談していたら、朝会が始まっていた。

転校生が来るというのは、嘘じゃなかった。担任の先生からその旨を伝えられ、今、その転校生の足音が聞こえている。

「初めまして。風上 亜実です」

その子の出で立ちで、一瞬頭が真っ白になった。

黒に染めているが、ほのかに青が混じった長髪、かわいらしい丸い顔。

かざかみ あみ。そうだ、アミちゃんだ。

転校生の正体は、アミちゃんだった。


休み時間。みんなはアミちゃん、もとい亜実ちゃんの元へ、ぞろぞろ集まってきた。

たわいのない質問を投げかけられ、それに答える亜実ちゃん。

その表情は、輝いていた。


「亜実ちゃん」

「……Aさん」

一段落したころ、私は亜実ちゃんの元に行った。

「どうして、ここに?」

聞きたいことはいろいろあったが、とっさに出てきたのは、たわいのない質問。

「Aさんの体験していることを、私も体験したいと思って。パートナーですから」

亜実ちゃんは、にこにこした笑顔を見せる。

「でも、勉強はよくわからないので、教えてくださいね」

私は、その問いに無言で肯定の意を示した。


亜実ちゃんは授業に真剣に取り組み、そこそこの正答数だった。

《あの子、凄いな》

アリアドネが感心するほどだ。

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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頂志桜(サム)(プロフ) - 怪盗ゆかりんさん» ありがとうございます!地道に、頑張っていきますね! (2016年8月24日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗ゆかりん - とても良いと思いますよ。オリジナル物では大体ファンタジーじゃない恋愛系が多いのでとても良いと思います。なので頑張ってください。 (2016年8月24日 11時) (レス) id: 9e404a3c93 (このIDを非表示/違反報告)
らむ音(プロフ) - 頂志桜さん» じゃあ、オリジナルで! (2016年2月11日 14時) (レス) id: 38cad45099 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» オリジナルのほうがいいかなーと。どうでしょうか (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» 敬語なのはなんとなく……です。普通のほうがいいかな……? (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年1月25日 1時

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