ＬＡＳＴ【リヴァイ】【進撃】 (ページ42)

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42話破壊ページ42

でもそれからは毎日、
Aの部屋の前に腰を下ろして話をするようになった

日に日に声がでて、明るくなっている気がして嬉しかった

そうしているうちに、いつか俺にも
あの日のことをすべて話してくれるかもしれないと期待した

その一方で、俺は憲兵のところへ出向いた

誰にもそのことは伝えてない

すると、Aが被害に遭う前に行っていた
憲兵団支部にAの持ち物が届いていた

「住民が落とし物として届けてくれたんですが、
誰のものか分からず困っていたところなんです」

「...これは、俺の知り合いの物だ、見覚えがある
探していたから渡しておこう

それから、
数日前にこの近くで激しい喧嘩なんかはあっただろうか」

「いいえ？聞いていませんけど」

「そうか、俺の思い違いだったかもしれない」

俺は兵舎へ帰る馬車の中でずっと考えていた

勿論疑ってはいたが、これで確信した
やっぱり、Aは
もっと別のことに巻き込まれていたはずだ

ただの喧嘩ならあいつならすぐに鎮圧できる
民衆相手に怪我を負うようなへまはしない

それに、
あの冷たかった手は綺麗なままだったから
やはりただ一方的に暴力を受けたとみて間違いない

俺はまたそこで行き詰ってため息をついた

すると持ち帰って来たAの持ち物に目が行った

Aが落としていたのは、
物が詰まったバッグと、
あの日俺が貸したマフラーだ

白いカバンはが黒い土の汚れが目立っていた

しかも中身は入ったままだ
強盗なら財布も物もすべて奪うはずだ

人のカバンを覗く趣味はないが、今は特例
悪いとは思ったが、開いて中を探ってみた

おそらくあの日
街で購入しただろう物がたくさん入っていた

購入したのか分からないが、ビー玉が一つ
大人になって見ることもなかったと懐かしく感じた

それから
俺への土産だったんだろうか、
わざわざリボンのつけられた紅茶の茶葉が入っていた

最期に、奥から
婚姻届けが一枚、

丁寧に入れられていたのか
紙にはしわも少なく、綺麗なままだった

どれもこれも、
持って帰ってこれなかったんだと思うと胸が痛む

嫁入り前の女に、もうすぐ幸せになれるはずだった女に、

暴力振るえるような奴がいるのか？

許せなかった

数日前まであんなに笑って、幸せそうにして
俺の隣にいたのに、

彼女の心も体も全部、壊された