ＬＡＳＴ【リヴァイ】【進撃】 (ページ32)

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32話重みページ32

AＳＩＤＥ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

ここから教会までは少し距離があるが、
その道中は商店や露店が立ち並ぶ賑やかな場所

だからそこで買い物をしつつ
足を進めようと思っていたのだが、

物に目移りしてしまってなかなか進まない

知らずのうちに鞄には買ったものが詰まっていく
私はふぅと息をついて鞄を深くかけ直した

するとその時、足元に感覚があって覗くと

まだ満足に言葉も話せない程の年齢の男の子が
私の足にくっついて、私の顔を見つめていた

『どうしたの？』

「...お母さん、いない」

消え入りそうな不安げな声でそうつぶやいた

ここは人も多い商店街だ、はぐれるのも無理はない
唯一兵服を着ていて目立った私を頼ったのだろう

子供ながらに賢明な判断だ

この辺りは人が多いとはいえ、
一本中に入った裏通りは人通りのない暗い場所だ

子供の誘拐事件は後を絶たないし、憲兵団が巡邏するのは内地のみ
憲兵の怠惰も問題になっているとも聞くし、
壁内の大部分は決して治安が良いとは言えない

それゆえすぐに見つけてあげたかった、
けれど辺りにはそれらしい女性も見当たらない
私はしゃがんで小さな手を握った

『大丈夫すぐ見つかるよ、お母さんもきっと探してる』

そう言うと男の子は深く頷いた

人だかりからは少し離れて大通りの目立つところに座った
少し安心したのか、その男の子は
お母さんの話や何歳だとかそういうことも
拙い言葉で話し始めた

結婚するともなって一層子供にも意識が向いたのだろう
こうやって、自分にも子供ができたりするのかな
なんてふと思ったりもした

そうして話をしているうちに、
その子の母親が私たちを見つけて迎えに来た

『よかったね、もうはぐれちゃだめだよ』

「うん！お姉ちゃんありがとう！」

その男の子はポケットに入っていたビー玉を
お礼だと言って私にひとつくれた

そして今度はお母さんの手をしっかり握って
満面の笑顔で手を振っていた

子供っていいなぁ、と思っていた

今こんなに幸せだったのに
それ以上をまた求めてしまっていた

だから、こんな羽目になってしまったんだ

現実も見ないで浮かれてばかりいた私への
罰ですか？それとも戒めだったのでしょうか？

私の大事な大事な幸せ、
こんなにすぐに手放してしまった

私には、幸せがすぎたのかもしれない