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太宰の本名は、
「‘青鯖ださい’だ」

図書塔の最上階に中原のそんな声が響く。顔は真剣、声も非常に落ち着いており、
「………これまた、…確かに本名を名乗りたくは無いでしょうね」
Aはすっかり騙された。
「そういえばな、この扉どういう仕組みになってんだ?」
中原は小さな扉を見つめAに問う。
_刻印術式。本来なら天使は使わないのですが……、いかんせん、出来上がった術式に魔力(仮定)を通すだけで出来る便利さ故に…魔力(疑問)を通す仕組みさえ作れば精霊回廊に接続できない人間にも扱えるので。
「まぁ理解出来ないでしょうね♡」
「おい⁉」
「先ず私が理解していませんし。…それよりも唐突に精霊が、とか刻印術式が、精霊回廊がとか言い始めても困るでしょう?」
「精霊…ってあの光る奴か?」
「…いえ、人間には基本見えないですね。霊骸(れいがい)となれば話は別ですが…大戦が起こっていないこの世界とは無縁でしょうしね」
「例外…?」
「………まぁそんな小さな頭では理解できないでしょうね」

「ひでぇな、おい」
「ヨウスルニヘイワデスバラシイデスネ」
棒読みで呟くAに中原の頭はさらに混乱する。

楽しそうに笑いながら、
「蛞蝓さんは、……少し身長が低いでs」
中原が衝動的に拳を握りしめ、殴ろうと…

空中に扉が現れた。
少し光っていたその扉は徐々に実体を持ち、
太宰が扉をくぐって来た。

そう、中原の掲げた拳の前に。

「やっほー、A……?蛞蝓君。………どうしたのだい?」
本気で心配しているような表情の太宰に中原は、バツの悪い顔をするしかなかった。

「あ、ダサい名前の方」
「………は…?」
「え、青鯖ださい、でしょう?」
数秒間の沈黙。
「へ………?……ちゅーうーやーぁー??」


殴り合い蹴り合いの二人を見て笑い転げるAに、
内心太宰と中原が喜んでいるのは誰も知らない事。

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作者名:菁蓮 | 作成日時:2019年1月22日 15時

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