一瞬だからこそ ページ14
「やべえええええええ!!!!」
ものすごい形相で黒尾は走る。
目指すは、
「ごめんおくれた!」
「遅れたとかいうレベルじゃないんだが…」
「え、主将って海じゃなかったの?」
主将会議の場だった。
「ひどいな染井クン」
「っていうかもう終わったぞ?」
なんてガヤガヤと話していると、
「すみません、黒尾さん、勝敗の表完成しました」
と芝山が入ってくる。
「お、ありがとさん」
黒尾が受け取り、それを確認すると芝山は小走りに帰っていく。
その場にいた者がその表をのぞき込む。
「あー、こうやってみると、僕らのとこボロボロだなぁ…」
そういったのは染井だった。
それに木兎が不思議そうに言う。
「でも桜星は春高とかインハイの常連校だよな」
「まあ、伊達に桜じゃないよ」
「??」
ハテナマークを浮かべる木兎の横で、黒尾はにやにやと笑う。
「へぇ、風流だねぇ」
「風流?」
そう聞き返すと、染井は待ってましたと言わんばかりに、
嬉々として話始める。
「桜が満開になるのは、ほんの一瞬なのは知ってるよね?
その満開の時期が一瞬だからこそ、僕らは桜を
儚く、美しい、趣のある花だと思うわけだ。
年中無休で咲いていては、こうはならないだろう?
だからね、一年中ずっと強くなくともいいんだよ
大会の日に、最高の実力が発揮できれば、なにもいらないんだ。
だから、僕らは今強くないんだよ」
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作者名:ちとせあめ | 作成日時:2018年9月12日 23時