ふたりぼっちの姉妹 ページ8
・
No side
千崎家だとかいう家に引き取られると聞いた時、「いつかはこうなる」と思っていたことが現実になったのだと、真希はぼんやりと考えた。
否。数秒後にはぼんやり放棄していた意識を引き戻し、連絡事項だけを言う人形の様な使用人に食ってかかった。だがその使用人の言うことは変わらない。
“禪院真希と禪院真依の身柄は、これより千崎家の預かりとなる”
体良く言ってはいるが、結局ただの人身売買だ。
奥歯を噛み締めたとき、意識を戻してくれたのは、真依の小さな声だった。
「…おねぇちゃん、私たち、どうなるの？」
弱々しく袖を引かれる。
真希は噛み締めた奥歯を戻し、なんとか優しい顔を作った。そして真依の頭を撫でてやった。
「……心ぱいすんな。あたしが真依をまもってやる」
危険なことは無い、怖いことは無いとは言えなかった。此処よりマシとも言えなかった。
呪術師の家系なんて信用が出来なかったからだった。
片や呪力無し、片やハズレ術式。
禪院扇の落ちこぼれ娘。
それが、真希と真依の背負う肩書きだ。
『貴様ら落ちこぼれには、胎ぐらいしか出来ることなんぞ無いだろう』
『役立たずでも贄ぐらいにはなったなァ』
『次期当主候補様の代わりになったのだ。誇りに思え』
『腐っても
クソッタレ、クソッタレ、クソッタレ！！！
知らせを聞いてからその日まで、真希らはそんな腐り切った言葉を馬鹿の一つ覚えみたいに吐かれまくった。
救いなんてありやしない。
それが禪院だ。
実の父は己の娘が他所の家に引き取られるくせ、顔を見に来ることすらしなかった。
実の母は心労で倒れたと聞いた。一度病室へ見に行けば、真っ白な顔で心此処に在らずといった風だった。
「お前は、あたしがぜったい守ってやる」
そう言って泣きそうな妹を抱きしめる事だけが。
真希に許されたほんの僅かな。
己の心を守る、方法だった。
・
人形の行き先→←Welcome to another world
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1663人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘木 - あっっっっっなんか可愛い生き物がいる… (2022年2月22日 20時) (
レス) @page21 id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - あぁ、、、やっぱり好き、、、真希ちゃん真依ちゃん最高、、、 (2022年1月31日 0時) (レス) id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)
一般人 - なんて面白いの・・・！感動！← (2022年1月30日 18時) (レス) @page18 id: 9f6ba63dfd (このIDを非表示/違反報告)
あき。＃ぷりん(プロフ) - あぁ〜もう好き！！！！！！！更新ありがとうございます！ (2022年1月30日 11時) (レス) @page12 id: bff8d73ccb (このIDを非表示/違反報告)
あほ - やったぁぁぁ！！！新しい話だぁぁぁ！！ (2022年1月29日 19時) (レス) @page10 id: 7787f6d795 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
