酒飲みの独り言 ページ20
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No side
「分かったよ、んなに任務入れたら呪詛師でも教祖にでもなりたくなるに決まってる!」
やーっと十数年来の疑問が解けた!
そう言って下に隈だらけの目を輝かせる雇い主に、伏黒甚爾は「正気か?」と至極当然の問いを投げかけた。
最低最悪の自 殺方法でも試しているようなスケジュールの、特級呪術師であるAの噂は有名だった。
千崎Aは千崎家らしいフリー呪術師の活動をしており、拠点は東京の高専だ。
高専から依頼された任務をこなし、その度に金を貰っていくスタイル。
特級ともなれば依頼料は冗談みたいに高いだろう。一級と特級では天と地程にも実力に差があるのだから。
そしてAはフリーとなってからの二年間、一日も休んでいないともっぱらの噂だ。
「ハハッ、マジなんだよなぁ。特級サマが休んでねーの」
「だから謝ってんじゃん。しつこい男は嫌われるよ、パパ黒サン?」
「その呼び方やめろ」
「アハアハアハ!善処すんね」
その噂の特級サマは、現在、甚爾の前で酒を飲んでいるのだが。
Aが「一週間此処で過ごすし任務無いしこれから任務入れんの程々にする!!」と千崎家本殿に帰って宣言したのが三日前のこと。
一日中睡眠をとっていたのが二日前のこと。
起きたAに抱きついて離れない子供陣(+伏黒母)を宥めてあやして、皆で街へ買い物へ行ったのが一日前のこと。
そして今日、元気になったAは、競馬から帰った甚爾を呑みに誘ったのだった。
「お前も俺も居なくて、本殿の方はいいのかよ」
「奥さんから聞いたでしょ?伏黒家とお嬢らは今日俺が高専まで送ったよ」
「あー……、昨日何か言ってたな」
「そそ。女中も今日は、皆で街へ買い出しだってさ。本殿に結界も張ったし大丈夫なの」
だから今日は、こうして伏黒さんと呑める。Aはやや赤らんだ顔で「アハアハハハ」と笑った。
甚爾は呑んでも酔わないが、「此奴酔ってんな」ということくらいは分かった。
今日が酒デビューと言っていたAのグラスを取り上げる。残念そうな声を上げながらも、Aはそれ以上飲もうとはしなかった。
手持ち無沙汰になったらしい。
ほろ酔いで語り始めたAを、止める気なんて甚爾には無かった。
「……んー、ね。伏黒さん、聞いてよ」
俺ね、結構欲しがりなんだ。
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甘木 - あっっっっっなんか可愛い生き物がいる… (2022年2月22日 20時) (レス) @page21 id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - あぁ、、、やっぱり好き、、、真希ちゃん真依ちゃん最高、、、 (2022年1月31日 0時) (レス) id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)
一般人 - なんて面白いの・・・!感動!← (2022年1月30日 18時) (レス) @page18 id: 9f6ba63dfd (このIDを非表示/違反報告)
あき。#ぷりん(プロフ) - あぁ〜もう好き!!!!!!!更新ありがとうございます! (2022年1月30日 11時) (レス) @page12 id: bff8d73ccb (このIDを非表示/違反報告)
あほ - やったぁぁぁ!!!新しい話だぁぁぁ!! (2022年1月29日 19時) (レス) @page10 id: 7787f6d795 (このIDを非表示/違反報告)
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