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「……知らない天井だ」
「あ、起きた？」
「『寝言は寝て言え』の控えめな表現でいらっしゃるのかな」
「いらっしゃらないよ。おはよう」
ああおはよう。子供の頃に元気よく通っていた、夏休みのラジオ体操が懐かしい。
それとあの頃の自分に言ってやりたい。
「新しい朝は無い。希望の朝も無い」
「夫に呪力封じられた朝があるの？」
「無い」
「じゃあ新しい朝だ。希望は諦めてね」
無慈悲にも程ってものがあると思う。
てか夫って何。恋人も婚約者も認めて無いのにすっ飛ばすな。順序を踏んでくれ。
なんで一から十まで飛び越えるんだ。
分かること。現状、ベッドの上ってこと。
右腕には呪力封じの縄。
左には傑。
両足首にはちべたい感触。見れば、ジャラリと冷たく鎖が鳴った。
「ええーーなにこれ珍百景？」
「一応訊くけどA、状況分かってる？」
「此処が母なる大地の懐ってことは分かる」
「真面目に」
「傑を太陽系から追い出したいってこともわかる」
「どうやっても空気読まないよね」
「ありがと」
「褒めてないよ」
それ以上何か言おうとすれば、口を塞ぐようにキスをされた。
前にもこんな会話したなあ。と粘着な音を聞きながらふんふん思う。デジャヴってやつだろうか。多分違う。
見上げる傑の瞳は真っ黒で。
切望と愛玩と、もっと暗くてドロドロしたモノで出来ていた。
長い長いキスが終わった後。
縛りを結ぼうか、と。
傑は瞳みたいにドロドロした声で言った。
「君が死んだら、君の家族も殺してやる」
唖々。そう言うと思った。傑はやると言ったらやるイイコだから。
「『古泉Aが生きる間は、夏油傑は古泉Aの家族の命を脅かさない』」
蕩けるような甘い声で。
結ぶ？と言われて。
結ぶ。と答える。
たったそれだけの簡単な作業で、縛りは結ばれる。
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のんのんた(プロフ) - ワードセンスがピッカピカですらすら読ませていただきつつ、はちゃめちゃ笑わせていただきました…。お話の雰囲気本当に好きです…。 (2022年12月8日 23時) (
レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 面白かったです！素敵な作品をありがとうございます！ (2022年3月3日 12時) (レス) @page10 id: 8c70df45d4 (このIDを非表示/違反報告)
ミントティー(プロフ) - み り ん 。さん» 書いていてとても楽しかったです。読んで頂きありがとうございました！ (2022年2月28日 16時) (レス) id: 38ab85e584 (このIDを非表示/違反報告)
み り ん 。(プロフ) - 完結おめでとうございます！！このような神作を作っていただきありがとうございました！！お疲れ様です！！ (2022年2月28日 16時) (レス) @page10 id: 2f94ade894 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - とても面白かったです。完結おめでとうございます。 (2022年2月27日 22時) (レス) @page10 id: 69206d8b84 (このIDを非表示/違反報告)
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