今日から愉しい誘拐生活【夏油傑】

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　硝子は元気かな。私が居なくなって泣いてないかな。
　五条も元気かな。あいつ、存外にさびしがりだから。


もう、傑に攫われて一年以上は経ったと思う。





「此処って、結局何処なんだろ」





テレビは備え付けに有るが、番組は表示されなかった。
居場所を知られたくないのか、DVDで映画を観ることしか出来なかった。


映画のジャンルは多岐に渡る。

ナンセンスな古い歴史の映画。
血と人情が交差する極道映画。
アッと声の出るようなホラー映画。
ナイスバディの金髪美女が出る海外映画。





「あ、傑の好きそうな巨乳のコ」





それでも早速なんなのか、定期的に交換される映画に濡れ場シーンは殆ど無い。

多分、ミミナナが来たときの対策だろう。
ミミナナは不定期に此処へ遊びに来る。その時に濡れ声が大音量で流れてたら困っちゃうからね。
傑が。





「お酒はどうやってもくれないし。刃物諸々は見当たりもしないし」





部屋から出られるたった一つのドアは、傑にしか開けられない仕様らしいし。

厳重も厳重。
下手な刑務所よりも手が掛かってるね。流石特級サマということ。





「呪いで開けれないんだったらいいのに、普通に鍵ってことがまた、ね」





私の術式は『解呪』なのだから、結界仕様だったらどうにかなった。

でもドアに着いているのは鍵。
単純明快な文明の利器。笑っちゃうよね。





「鍵は一つ。傑がいつも持ってる。はい終わった無理ゲー帰ろ考えるだけ脳カロリーが無駄だよクソ」





ああ、清々しいくらい方法が無いね。



解呪術式。
そもそもこの部屋に呪いの類いが一切使用されていない。無効。

解呪術式が美々子の人形に使える可能性。
美々子は私を呪っていない。美々子が一時術式使用不可になるだけ。無効。

鍵を奪う。
傑から？無理。天地とランデヴーする方がマシ。無効。

ミミナナを人質に出来ないか。
可能性は、ある。でも失敗した場合の結果が一番最悪になる。保留。





「ならまあ。かくなる上は」


















　＿＿＿＿＿自害かな。




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