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私の術式である『解呪術式』は応用として、粘膜接触をすると相手に自身の呪力を流し込むことが出来る。
それによる効果は二つ。
適度に流して呪力の電池となるか、過剰に流して呪力の爆弾となるか。
今回は後者をしようとした。
「恋人相手に酷いな。死んだらどうしてくれるんだ」
「ブーメランて知ってる?死なないよ、傑なら四肢が爆散するくらいじゃない?」
「重症だろ」
「傑の頭が?そりゃ重症」
再度噛み付くようなキスをされた。これは普通に私が悪いが。
「学ばないね」
世界一学びたくないからね。
馬鹿みたいに甘ったるい。
「じゃ、ころす?」
「君を?冗談だろ」
「死活問題なの。物理的にね」
「んー、答えはノーかな」
「なんで?」
「君は此処で生きていく道しか無いから」
はいせんせー、理由になっていませーん。
もう一度「なんで?」って聞いたら「身体に教えようか?」って絶対傑は言うので聞けませーん。
終わってんね。ゲームオーバー。
これが巷で噂のQ.E.D。
傑は言葉に詰まった(呆れて何も言えなくなった)私に満足したのか、にっこり笑って「解こうか?」なんて言ってきた。主語を付けようか。
そして何も返事してないのに私の後ろに周り、ふつうに呪力吸いの縄を解いた。
私は自由になった。
嘘でしょ。
私は自由になった手を開いたり閉じたりした。
「……舐めてるの?」
「君は特級相当の戦闘能力を持っているの?」
質問に質問で返す辺り、ホント傑は性格が悪い。
私は返事代わりにシニカルに笑った。傑にはそれくらいが丁度いい。
「まあ、ずっとその体制だと疲れるだろうから。部屋からは出さないよ」
「あら優し。過ごしやすそうな部屋じゃんね」
「君の為に用意したからね。気に入った?」
「窓が無い」
「そりゃあね」
「ま、いっか」
「いいんだ…」
「ところで欲しいモノってリクエスト出来る?出来なきゃ舌噛み切って死んでやる」
「君は一か十しか選択肢が無いのかな」
真っ白な壁にふわふわの絨毯の敷かれた部屋。
寝心地の良さそうなベッド。
テレビにソファに机に椅子。
多分、備え付けのお風呂やトイレも有るだろうけど。
「…足りない」
「何が?」
決まってるでしょ。
「武器」
「絶対あげないからね」
ちぇ。
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のんのんた(プロフ) - ワードセンスがピッカピカですらすら読ませていただきつつ、はちゃめちゃ笑わせていただきました…。お話の雰囲気本当に好きです…。 (2022年12月8日 23時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 面白かったです!素敵な作品をありがとうございます! (2022年3月3日 12時) (レス) @page10 id: 8c70df45d4 (このIDを非表示/違反報告)
ミントティー(プロフ) - み り ん 。さん» 書いていてとても楽しかったです。読んで頂きありがとうございました! (2022年2月28日 16時) (レス) id: 38ab85e584 (このIDを非表示/違反報告)
み り ん 。(プロフ) - 完結おめでとうございます!!このような神作を作っていただきありがとうございました!!お疲れ様です!! (2022年2月28日 16時) (レス) @page10 id: 2f94ade894 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - とても面白かったです。完結おめでとうございます。 (2022年2月27日 22時) (レス) @page10 id: 69206d8b84 (このIDを非表示/違反報告)
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