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 呪詛師認定された夏油傑とは、所詮恋人同士だった。


傑が非術師を大量虐殺していたとき。私は隈を擦りながら隈仲間硝子と意味もなく笑い合ってた。

仕方がないと言えればいいが。
そんなことを言う権利は私には無いらしい。

そのときは、何にも知らなかったというのに。








彼は貴重な特級呪術師。
私はしがない非戦闘員。

ではなく。

私は硝子と似たような立ち位置の、割と重要な非戦闘員だ。


『解呪術式』、というもの。

そんな稀有な術式持ちの私は、硝子とタッグを組んで社畜万歳と日々悲鳴を上げている。





「A、c-12番の瓶取ってきて」

「ん。抜糸は」

「いい。ついでに右ベッドの患者を頼む」

「腹部に呪力過剰摂取の?治療は」

「済んだ」

「おっけ」





流れるような作業に脳みそが焼ける。傑が居なくなって、患者が増えたからだ。

そりゃそうだ。だって三人しか居ない特級サマが一人抜けてしまったのだ。


何してんだろ、あの人。
かつての恋人に思いを馳せる。





「硝子、完了。他は?」

「他は、今はいない」

「今は」

「一人頭打って寝てる」

「そんまま脳みそぐちゃぐちゃになればいいのに」

「ははっ」





疲れてるな、お前。なんて硝子は言う。硝子の目元には乙女らしくない陰りが宿っている。
それは私も同じ。
結局私たちは疲れているのだ。

だってそうだろう。





「ソイツ、硝子が灰皿で頭打ったじゃんね」





患者としてやって来た中年術師は、胎がどうのこうのと言うタイプだった。
あーめんどい。それで済めばいいが。

ソイツが硝子の尻に触れた途端。
硝子は何の躊躇もなく、ソイツの頭を灰皿で強打した。


そして今に至る。





「起きたら面倒になるよ」

「起きなくなる方が面倒だろ」

「ナイフで喉元掻っ切ればよかったのに」

「事案だな。お前まで呪詛師になるつもりか?」





そこまで言って、硝子はぐにゃりと表情を歪め、「ごめん」と謝ってきた。

「ん」と私は否定とも肯定とも言えない返事をする。





「やっぱり、私たち疲れてるね」





そんなこと言った硝子も。

否定しない私も。





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設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑   
作品ジャンル:恋愛
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のんのんた(プロフ) - ワードセンスがピッカピカですらすら読ませていただきつつ、はちゃめちゃ笑わせていただきました…。お話の雰囲気本当に好きです…。 (2022年12月8日 23時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 面白かったです!素敵な作品をありがとうございます! (2022年3月3日 12時) (レス) @page10 id: 8c70df45d4 (このIDを非表示/違反報告)
ミントティー(プロフ) - み り ん 。さん» 書いていてとても楽しかったです。読んで頂きありがとうございました! (2022年2月28日 16時) (レス) id: 38ab85e584 (このIDを非表示/違反報告)
み り ん 。(プロフ) - 完結おめでとうございます!!このような神作を作っていただきありがとうございました!!お疲れ様です!! (2022年2月28日 16時) (レス) @page10 id: 2f94ade894 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても面白かったです。完結おめでとうございます。 (2022年2月27日 22時) (レス) @page10 id: 69206d8b84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミントティー | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年2月26日 21時

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