６話 静かなカフェで ページ7
ミアレシティには入り組んだ路地裏がいくつもある。ミアレの住人だってそれを全て把握するのは難しい事だ。その中の一本にするりと入り込んだスミレさんは、まるでそこを知り尽くしているように迷いなく歩く。
右へ、左へ、もう一度右へ。入り組んだ路地を歩いた先にあったのは、白い壁に取ってつけたような扉と、こんな場所にあるにしては丁寧に描かれた看板。カラフルなチョークで彩られた小さな看板用の黒板には「cafe 静かなひと時を」と小さな文字で書かれていた。
こんなところにカフェなんてあったのか。漂うコーヒーの香りに鼻を擽られながら、スミレさんを困惑したように見つめる。スミレさんはそれに小さくミステリアスに笑って見せると、「ここなら誰もいない」と言って、また無遠慮に扉を開けたのだった。
明るすぎず、かといって暗すぎない。温かみのある照明が照らす店内は、何処となくシックなイメージを醸し出す。木製のテーブルや椅子が所々に並び、お客さんはあまりいない様だ。知る人ぞ知る名店、といった雰囲気のこのカフェは、店員さんが佇む静かな空間だった。
「ここなら落ち着いて話が出来る。あまり大通りは歩けないから」
「……スミレさんの行きつけですか？」
「落ち着きたいときはここ。行きつけのカフェは、もっと寒い街にある」
私の知り合いがやってるの、と微笑むスミレさんに、何処か恐縮しながら合いの手を打った。有名なモデルを目の前にすると肩に力が入る。カロスどころか世界中で注目を浴びる人とこんなに会話をしていいのだろうかと思う実、舞い上がる心も否めない。
――もしかしてドッキリ？ 隠しカメラとかあったりする？
きょろきょろと視線を滑らせて店内を見渡す私の横を通り過ぎ、スミレさんが近くの椅子に腰かける。静かに座って髪を払う、たったそれだけの日常的動作すら何か特別なものに見えてしまうから不思議だ。
「あ、あの、スミレさんって二年前のフレア団騒動に関わったトレーナーの一人なんですよね」
身を乗り出す勢いで喰い気味に質問をした私に、スミレさんは言葉なく頷く。詳しいお話がしたいというのに応じてくれたのは本当らしく、椅子に座ることを勧められた。モデルさんと同席なんて、一生に一度あるかどうかだ。心臓が高鳴る理由はそれだけではない。
「……リーネさん、のこと、聞かせてください」
私が最も憧れる人について、知り合いの方から色々聞けるチャンスなのだ。
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クレラップの人の髪型してる人です - めっちゃ読んでます。一日にシリーズ10ぐらい読んでます。(最高記録)←自慢です⌒∀⌒ (2018年2月4日 5時) (
レス) id: d57e434323 (このIDを非表示/違反報告)
リー - 部活動が落ち着いて久しぶりに来てみたら完結していて慌てて読み終えたところです。笑読み始めた頃はまだ小学５年生だったのですが、お話が深くとても感動する作品でした。どうかお体に気を付けて、今作も楽しみにしています！ (2017年2月9日 1時) (レス) id: 0cfb568c00 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 花夜さん» わー有難うございます！！ 二年後のお話まで目を通していただけて嬉しいです！ いずれ戦うことになるかもしれないバトル、どちらが勝つかはお楽しみということですね！ (2016年12月10日 18時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
花夜(プロフ) - 君はいつだっての二年後だと聞いて(見て？)来ました！！あー、リーネちゃんと戦うのか……。前作を見たからリーネに勝ってほしいという気持ちが……w (2016年12月10日 18時) (レス) id: ab23184840 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - ルカ@リュカさああああああああんさん» それは物語が進めば分かるのだ！ リュカさん登場を願っているのが名前からひしひし伝わってくるけどもうちょいまってな！ リーネパイセンのよいしょを見てその発言はすごいよルカ！！！ (2016年12月10日 16時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/katudoutyu12/
作成日時：2016年12月1日 20時
