東雲彰人を落としたい【プロセカ】

その44 ページ45

「まぁ…今のところは、の話だがな
　正直今日のAの演技はこの俺も驚いたぞ」


「先輩…」




いつも自信満々の先輩が少し悔しそうな顔をした

先輩がそんなふうに思ってたなんて…



「本番に強い心はコンサートで培ったんだろう
　音程もリズムもしっかりしている歌声は助かった
　運動が苦手なのに歌いながら踊る体力はしっかりしていた
　全部、クラシックがあってこそだと俺は思う」





コンサートで陰口言われても知らないふりをした

メトロノームが一日中鳴り響く部屋に引きこもらないといけない休日は嫌いだった






「向いていないことはない、ただクラシック以上に好きな物を見つけただけだ
　ミュージカルをしたいという時点で音楽から目を背けていないことは明白だろう」



そっか…私、無理してると思ってたのに実は音楽が好きだったんだ


お父さんに音楽を教わったから、ミュージカルに興味を持ったのかな





「Aは音楽が大好きでそれと同じぐらい演技も好きなんだ
　だからミュージカルをやることを許して欲しい！！」



「私たちからも！！Aちゃんをここに居させて！」



司先輩の言葉に続いてえむ達がやってきた


先輩の隣に並んで頭を下げる仲間たちに、流石の父も目を見開いた



ここまで仲間にしてもらって、私が言わないでどうするの



「お父さん」




私にはやりたいことがあって、仲間もいるんだ




「今までクラシックを教えてくれてありがとう
　でも私はみんなとミュージカルがしたい…です」



お父さんの目を真っ直ぐみる


冷たい目から逸さないように勇者の剣にそっと触れる




ここで折れるわけには、いかない…！！！








「青柳として生まれたからにはクラシックを引き継ぐべきだ
　その考えが変わることはない」



「ピアノも続ける、だからミュージカルを認めて…ｯ」



「認めて欲しければ結果を出せ
　…話はそれからだ」




これは、許可が出たのだろうか


その言葉に私は聞き返そうとするも、父はため息をついてその場を後にした




父の背後を呆然とみていると肩に手が置かれ後ろを振り返る





「とりあえずは良いってことじゃないのかな？」



「Aのためにももっとたくさんショーをしなくてはな！」




類先輩達の笑顔に私の涙腺は崩壊した


今まで溜めた分の緊張や不安が、涙になって流れ出した


みんなが仲間になってくれて本当に良かった




誘ってくれてありがとう、司くん

その45 彰人side→←その43

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す