幼馴染が人妻好きだから私の愚行を許してくれ その2【桂小太郎】

第76話 感情 ページ38

｢おい銀時、何Aを泣かせているんだ。アイス買ってこい｣









｢なんで俺！？！｣






ヅラは移動し、泣きじゃくるAの背中をポンポン叩いたりさすってたりしていた。時にはどうどう、なんて言うもんだからAに｢私を馬扱いすんな！！｣とか怒鳴られてた。







流石この2人。まさにシリアスブレイカー。









｢…晋助と共犯なのだろう。女の涙に対してアイス1本は安いものだと俺は思うが｣









｢わーったわーった。いってくるわ｣









謎にカッコイイことを発言したヅラ。Aに至っては照れていた。いや乙女か。









俺は少し離れたアイスの自販機へ行った。








自販機の前で色々考える。多分、きっと、あの二人はそろそろ付き合うだろう。









割り切って、諦めた俺の初恋。







あの日、｢ああ、俺は主人公にはなれねぇんだ｣と悟った。








不良の始まり。不良の終わり。松陽の怒ったような悲しいような歪んだ顔。Aの泣き顔、叫ぶ声。晋助が殴る音。ヅラの怒声。









中学の記憶がサラサラ流れ出てくる。









あの2人には、大切な幼馴染には幸せになって欲しい。




2人で幸せそうに笑い合う…いや、バカのようにはしゃぐ2人を想像する。








あぁ、俺の初恋は本当に幕を閉じるのか。









深海よりも深く、暗い場所に未だに潜んでいた、自分でも気づかなかった感情への蓋を静かに閉じた。

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