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「死別」其の三 ページ3

「だーかーらー!!」

苛立たしげな声がファストフード店に響く。一見したらヤンキーさながらの、金色の瞳に濃紺色の髪を一本縛りで纏めているこの少年──渡辺源二(わたなべ げんじ)が、千丈を怒りの眼差しで見つめていた。

「なんでこうでもしないと時間通り来ないんだよ!!」

ヤンキーな見た目と裏腹にクソが付く生真面目な彼は、千丈のルーズさに、一番怒りを感じていた人物だ。
少々童顔なことも相俟って、千丈にはすっかりナメられている。

千丈は興味なさげに癖毛を弄りながら、はいはい、と覇気の無い返事をするばかり。

「そんなカッカしないでよ源二君。寿命縮むよ〜、ねぇ時公君?」

そう言って千丈が親しげに隣の少年の肩に手を置くと、時公と呼ばれた少年は、それを思い切り振り払って怒号を浴びせた。

「はあっ!?陰キャにいきなり話振んなし!!」

今まで一言も喋らなかったのに、急に大声で怒鳴ったものだから、千丈は呆気にとられる。
プイッと顔を背ける彼、金坂時公(かなさか さだきみ)は、千丈が遅かろうが早かろうがきっと不機嫌だっただろう。

ゴールデンウィーク初日は家でソシャゲに精を出そうと思っていたにも関わらず、勝手に遊園地へ遊びに行こうという予定を組まれ、それをつい昨日知らされたのだから。
陽キャへの苦手意識は日に日に募っていく。

「時公君ホント凶暴〜」

ケラケラ笑う千丈に拳の一つでもお見舞いしたいと、金坂は腹の底からの殺意を必死に抑えていた。

「うるさい!この陽キャめ!!大体何でいつも俺がお前らに勝手に予定組まれて着いてかなきゃいけないんだよこんな陰キャ連れて歩いて何が楽しいんだよクソが!!!」

早口で捲し立てる様に不満をぶつける金坂を宥めるように、柔らかい声が仲介する。

「まあまあさだきみ、落ち着けって。いぶき、次は気を付けような?こうして怒ってるやつが多いんだから」

そう言って、にこっと小動物の様に可愛らしく笑い掛けたのは末浦武(すえうら たける)。
桃色の髪と萌浅葱色の大きな瞳が特徴的な、猫顔の少年だ。

「!…武、食べ過ぎだ。お腹を壊してしまう。」
「ええー、だってまだお腹いっぱいじゃないし……」

彼がいつも場を和ませていなければ、殴り合いだってあったかもしれない。

そして、大食漢の末浦を制止したのが、この仲良し(?)6人組の最後の一人、臼井光貞(うすい みつさだ)
彼は凶暴な陰キャを陽キャ組に引き入れた人物でもある。無口で大人しいが、皆の牽制役だ。

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設定タグ:創作 , 小説 , LondofHell   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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アブラアゲの妖精(プロフ) - ベルモットさん» うわー!!!ありがとうございます〜!!!(ToT)更新滞っていて申し訳ないですす…三年間煮詰めてきたお話なので楽しんで頂けたら幸甚でございますッッッ!!!(*^^*) (2020年9月19日 21時) (レス) id: d5dc16b5cb (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - あなた様の夢小説を読みました。設定や文章が細かくて、世界観に浸りながら読みました。続けを楽しみに待っていますね。 (2020年9月19日 19時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
アブラアゲの妖精(プロフ) - ?みなと?くんは低浮上さん» ピャッッッろんへるガチ勢…!(’-’*)♪うれちいぞ……ッッッありがとう!!! まだ鬼さん達すら出てないもんね…!!!いっぱいみなちゃんの推し出せるよう頑張る〜!!! (2020年8月5日 7時) (レス) id: d5dc16b5cb (このIDを非表示/違反報告)
?みなと?くんは低浮上(プロフ) - なに!?ロンヘルの小説!?ろんへるがち勢のワシ得でしかないね!推し様がたくさんでることを祈る……! (2020年8月4日 23時) (レス) id: c2018e7ed7 (このIDを非表示/違反報告)
アブラアゲの妖精(プロフ) - そりす。さん» ふへへへへへろんへる小説書き始めちゃった……(*^¬^*)挿し絵用のイラストとかも入れてく予定だから、更新お楽しみに…!!! (2020年8月4日 16時) (レス) id: d5dc16b5cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アブラアゲの妖精 | 作成日時:2020年8月4日 16時

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