【HQ】英国貴族も楽じゃない【瀬見英太】 (ページ6)

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薔薇6本ページ6

*

「馬鹿にしてんのそっちじゃん」

「それ、まじ意味わかんないんだけど」

「みくる様、ノノ様……？」

「最近うちらの成績いいのあんたのおかげじゃなくて、Aが教えてくれたおかげだから」

「夕妃様……」

Aがあたりを見回して、戸惑ったような表情を浮かべる。
俺は浅めにため息をついて言った。

「先生がなんで怒ってんのかわかんねぇんだけど、Aがさっきなんて言ったかわかんなかったんすか？」

「英語の先生なのにー？あんなにえばってんのにー？うけるー」

「なんとか言ってくださいよ先生」

先生は顔を真っ赤にして、チャイムと共に出ていった。
後で担任に報告しよう。

私立ってこういうとこ、シビアだから好きなんだよな。

Aが椅子にそっと座って、俯いた。
俺は心配になって覗き込むと、緑色の目が潤んで滴がぽろぽろと零れた。

「A、おい、なんなんだ……？」

「いえ、大声で注意を受けたことがなかったので、その……」

「なにー？ A怖かったんだー？」

「で、ですが、皆様が擁護をしてくださったおかげで……」

「もうそういうの良いから！こういう時言うことは？」

「……Thanks……？」

Aは顔を少し赤くして言った。
美しくて完璧だと思ったAも人間なんだ、と思った。