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15話 ページ15

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歩くことも出来ない、1人で着替えることも難しい、運動もできない、オシャレも存分にできない。

できないことをあげたらキリがない。
だからできることを考えて、やりたくないしやらなくていいことを数えてた。

できることを数えたら、私はそんなに可哀想な子じゃないと思うのに。


「悲劇のヒロインかっての……」


友達が帰り、静かになった病室でつぶやく。
窓の外はもう暗い。
こんこん、と小さなノックの音が聞こえる。

はーい、と返事をすると意外にも牛島がいた。


「……泣いたのか?」

「少し」

「そうか」


無駄にある椅子。
看護師さんが、友達がたくさんくる私の病室にたくさん椅子を用意してくれた。

そのひとつを取って、ベッドの横に座る牛島。
なんだか馬鹿らしくなってきた。

牛島の肩に寄っかかりたいのに、そこまで移動するのも面倒。
牛島に触れたいのに、手が伸びない。


「ねえ、牛島」

「なんだ」

「私、父親がいないの」

「そうか、それは知らなかった」


予想通りというか、なんというか。
なんの反応も示さない彼に調子を狂わされる。

悲劇のヒロイン扱いするなら、その扱いを一貫して欲しい。


「足ももう動かないし、学校も辞める」

「そうだな」

「チアもできないし、歩けない、オシャレもできない、誰かの力がないと生きることすらできない」

「……おい」


ヒステリー気味。
結局私も私自身を悲劇のヒロインだと思ってるんだ。

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時雨 彩(プロフ) - NONAMEさん» コメントありがとうございます。ほんと、応援が力になります!これからもよろしくお願いしますね! (2019年11月30日 18時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
NONAME - やばい、あなたが神か。。。全作品読んでます、応援してます!!! (2019年11月29日 21時) (レス) id: f4e45113f3 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○さん» コメントありがとうございます!更新ペースは遅めですが、頑張ります。これからもよろしくお願いしますね! (2019年11月29日 19時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○(プロフ) - えっ、初っ端かだけど好き…更新f頑張ってください! (2019年11月29日 18時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨彩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年11月28日 19時

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