15話 ページ15
*
歩くことも出来ない、1人で着替えることも難しい、運動もできない、オシャレも存分にできない。
できないことをあげたらキリがない。
だからできることを考えて、やりたくないしやらなくていいことを数えてた。
できることを数えたら、私はそんなに可哀想な子じゃないと思うのに。
「悲劇のヒロインかっての……」
友達が帰り、静かになった病室でつぶやく。
窓の外はもう暗い。
こんこん、と小さなノックの音が聞こえる。
はーい、と返事をすると意外にも牛島がいた。
「……泣いたのか?」
「少し」
「そうか」
無駄にある椅子。
看護師さんが、友達がたくさんくる私の病室にたくさん椅子を用意してくれた。
そのひとつを取って、ベッドの横に座る牛島。
なんだか馬鹿らしくなってきた。
牛島の肩に寄っかかりたいのに、そこまで移動するのも面倒。
牛島に触れたいのに、手が伸びない。
「ねえ、牛島」
「なんだ」
「私、父親がいないの」
「そうか、それは知らなかった」
予想通りというか、なんというか。
なんの反応も示さない彼に調子を狂わされる。
悲劇のヒロイン扱いするなら、その扱いを一貫して欲しい。
「足ももう動かないし、学校も辞める」
「そうだな」
「チアもできないし、歩けない、オシャレもできない、誰かの力がないと生きることすらできない」
「……おい」
ヒステリー気味。
結局私も私自身を悲劇のヒロインだと思ってるんだ。
82人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時雨 彩(プロフ) - NONAMEさん» コメントありがとうございます。ほんと、応援が力になります!これからもよろしくお願いしますね! (2019年11月30日 18時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
NONAME - やばい、あなたが神か。。。全作品読んでます、応援してます!!! (2019年11月29日 21時) (レス) id: f4e45113f3 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○さん» コメントありがとうございます!更新ペースは遅めですが、頑張ります。これからもよろしくお願いしますね! (2019年11月29日 19時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○(プロフ) - えっ、初っ端かだけど好き…更新f頑張ってください! (2019年11月29日 18時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ