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「なにしてんの」


ある日の夕方、帰ろうと校門を出ようとすると、太一が私の前に立ち塞がる。
太一は私を見下ろして言う。


「Aさんと話してないんで、最近」


私は太一の横をすり抜けて、歩いていく。
すれ違いざまに言う。


「私には構わないでいいから」

「なんでそんな冷たいんすか」


納得がいかない様子で、私を呼び止める。
元々そんなに仲良くもないのに。

部活中の太一を時々見かける。
楽しそうで、いかにも努力やら青春やらを謳歌してそう。

そんな彼を見ていると反吐が出る。
努力自体が悪い事だとは思わないけど、そんな努力したって無駄なのに、ご思ってしまう。

立ち止まって振り返り、私は眉をひそめて、太一に言う。


「青春ごっこに付き合うつもりは無い」

「青春ごっこって」

「ねぇ」


太一の言葉を遮って私は声を出す。
私は一歩一歩太一に近づいて、ネクタイを掴んで私の顔に近づける。

太一は少し顔を赤くして、なんすか、と言葉を発する。
私は愉快そうに言った。


「努力すれば夢は叶うと思う?」


ネクタイを離し、太一を解放する。
私の嫌いな単語は努力と夢。
嫌いな言葉は努力すれば夢は叶う。

馬鹿馬鹿しい。
私は馬鹿にしたような目を太一に向けた。

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時雨 彩(プロフ) - 海石榴《ツバキ》さん» コメントありがとうございます!見てくださる方がいると書き手として自信になります。御愛読ありがとうございます! (2019年12月21日 0時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
海石榴《ツバキ》(プロフ) - 今、時雨彩様の作品を見て回ってるんですが、どれも素敵な作品ですね。その文才がうらやましいです。 (2019年12月21日 0時) (レス) id: 906a0c9fbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨彩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年11月19日 21時

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